赤ちゃんポスト、要治療の子ども急増 熊本・検証報告書 [熊本県]

西日本新聞
------------------------------------------------------------------------------------------------
親が育てられない乳児を匿名で預かり、救う慈恵病院(熊本市西区)の
「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」について、同市の専門部会は
26日、2年半ぶりとなる2回目の検証報告書を公表した。
2年半の間に、預けられた際に治療の必要な子どもの割合が45%に急増。
身元不明の子どもが40%に達したことが分かった。
報告書は「身元が分からないと、
その後の養育にも支障が生じる」と課題を指摘した。

 こうのとりのゆりかごは2007年5月に開設。
開設から14年3月までに計101人が預けられた。
今回の報告書は、11年10月~14年3月に預けられた20人について新たに調査。
前回の報告書(開設~11年9月)に預けられた81人の状況と比較・分析した。

 報告書によると、20人は全て1歳未満。
このうち預けられた際、車などでの長距離移動による低体温や、
2500グラム未満の低体重のために治療を受けた子どもは9人(45%)で、
前回調査の6人(7・4%)から大幅に増えた。
経済的理由などで病院を受診せず自宅で出産されたとみられる
乳児が6割(12人)を占め、前回の28%を上回った。

 一方、慈恵病院に寄せられた妊娠の悩み相談は、
13年度に過去7年で最多の1445件に上った。
報告書は、テレビドラマで取り上げられたことも踏まえながらも
「ゆりかごと相談業務の一体的運用が明確化された」
と病院側の対応を一定評価した。

 この日、専門部会長の山縣文治関西大教授が、
報告書を幸山政史市長に提出。
幸山市長は「医療を要するケースが増えていることを重く受け止めている。
市として見守り続けたい」と述べた。
山縣部会長は取材に対し「親が匿名だと子どもが出自を知る権利も失われる。
身元が分かる仕組みを考えるべきだ」と求めた。
------------------------------------------------------------------------------------------------