保育所:親子通園で育児不安を解消 北九州の2保育所

毎日新聞
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 北九州市は、育児不安の親や発達の遅れなどが懸念される子供が
親子で通えるクラスを市内の2保育所に設置している。
子育て支援の専門家によると、こうした親子を一緒に保育所が支援するケースは
全国でも珍しいといい「親子に安心感を与えるなど大きな意義がある」と評価している。
【高芝菜穂子】

 北九州市小倉北区の東篠崎保育所の「親子通園クラス」に10月初旬、
1歳児と母親の3組が登園した。
午前中の3時間、通園クラス専任の保育士2人と、
部屋や庭で遊んだり、おやつを食べたりして過ごした。

 小倉北区の主婦(38)は、寝返りやお座りをする時期が比較的遅く、
なかなか目を合わさない1歳9カ月の長男を
発達が遅れているのではないかと不安に思っていた。
療育施設に相談し、親子通園を知って参加したという。
「例えば子供が友達をたたいた時、自分は『やめなさい』と止めるだけだったけど、
保育士さんは子供の気持ちをうまく別の方に向けて感情を切り替えてくれる」と話した。

 親子通園は、子供の個性に合わせた個別の支援計画や目標を保護者と話し合って決める。
異なる発達段階の子供が理解しやすいように保育を工夫している。
おもちゃを片付ける合図は言葉だけではなく音楽を流したり、
椅子に座ってほしい時は座るシーンを描いた絵のカードを出したり、といった具合だ。

 市が親子通園をスタートさせたのは2010年4月。
それまでも乳幼児の発達相談会などはあったが、
親子が継続して通える場ではなかったことから、保育所を活用することにした。
東篠崎保育所と八幡西区の黒崎保育所に通園クラスがあり、
利用は月8日以内で月額4000円だ。通園期間は原則1年で、
対象は6カ月以上の未就学児。13年度までの4年間で111組の親子が利用した。
今は計37組の親子が通っている。

 文教大学人間科学部の桜井慶一教授(子育て支援論)は
「発達が気になる子供には早期から社会が関わる態勢が必要。
保育所は地域に身近な施設で、保護者も安心だろう」と話している。
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