高知県奈半利町で土曜授業1年 保護者歓迎、教員側に消極的な声

高知新聞
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 高知県安芸郡奈半利町の小中学校が、
毎月1回の土曜授業を開始して10月で1年を迎えた。
マラソン大会や授業参観など以前は平日だった行事を土曜に移したほか、
外部から講師を招いたキャリア教育や防災教育の時間などに充てている。
保護者や地域の人にも積極的に来校を呼び掛けたことから、
保護者からは歓迎する声が多い。
一方で、教員からは労働環境の観点などから開催に消極的な声が上がっている。 

 奈半利町教育委員会は高知県教育委員会と連携し、
昨年10月から高知県内で初めて土曜授業を実施。
月1回、午前中3時限の授業を奈半利町内の
中学校1校、小学校2校で行っている。 

 このほど奈半利中学校で行われた土曜授業は、
通学中に南海トラフ地震が発生したと想定し、
それぞれが通学路にある津波避難タワーや小学校などに逃げる訓練を行った。
教室では、非常食の試食や高知大学の岡村真特任教授の講演に耳を傾けた。

 奈半利中学校は増えた授業時間を使って国語や社会、数学など
5教科の復習にも力を入れており、
仙頭浩校長は「平日だった学校行事を土曜日に回すことで、余裕ができた。
外部から講師を招いたキャリア教育にも力を入れて、
勉強する意味付けと学力向上を両輪にしてやっていきたい」と話している。

 奈半利町教育委員会が今年3月に奈半利中学校の保護者に対して
行ったアンケートによると、「どちらかといえば」も含めて
9割以上が「(土曜日授業は)あった方がいい」と回答。
「(土曜日に)家にいてもゲームをするだけ。
授業で分からないところを補習できる時間をつくってもらえれば」や
「土曜日に学校行事を充てて、平日に余裕を持って授業をしてほしい」との声が上がった。

 一方、小学校の教員に行ったアンケートでは
「地域の行事や部活の大会が土曜日に設定されている」という運営上の難しさや、
「土日が休みというのが(世間で)定着しつつある」といった
教員の労働環境の観点などから「どちらかといえば」も含めると
3分の2が「(土曜日授業は)ない方がいい」と答えた。 

 それらの声を受け、奈半利町教育委員会の竹崎和伸教育長は
「学校だけでなく、地域や部活動など周囲の環境整備も合わせて考えなくてはいけない。
1年や2年ですぐに成果が出るものではないので、今後も続けていきたい」としている。

【写真】防災学習で非常食作りを体験する生徒ら(高知県の奈半利中学校)
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