江戸川区の学童クラブ 福祉法対象外に不安の声

東京新聞
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 江戸川区は、来年四月から児童福祉法に基づく学童クラブ事業をやめる。
二十三区では渋谷、板橋の両区に続いて三区目。
同法の改正に伴い、来年度から職員数や資格、
児童一人あたりの面積などの基準が明確化されるため。
区は新しく条例を制定して福祉法の枠外で運営することにした。
待機児童を出さない狙いもあるが、保護者たちから基準に基づかない運営を
不安視する声も出ている。 (小形佳奈)

 学童クラブに子供を通わせる保護者らでつくる「えどがわ学童保育フォーラム」の三人は
十七日、区役所内で会見を開いた。
これまでも入所式や誕生会など従来の行事がなくなり、
昨年四月からは、おやつも廃止されるなどサービスは低下していた。
代表の大野晴子さんは「職員の非常勤化が進み、数も減っている。
学童クラブが児童福祉法に基づく事業から外れると、
運営内容はさらに悪化するのでは」と指摘する。

 区は二〇〇五年度から区立小全七十三校に希望者を対象にした
放課後の居場所「すくすくスクール(すくすく)」を設置している。
その中に学童クラブが併設され、クラブに登録すると出欠管理と
スクールでの午後五時から六時までの時間延長が認められる。

 区は会期中の議会定例会に、児童福祉法に基づく
学童クラブ事業条例の廃止を含む「すくすくスクール事業条例」案を提出している。
フォーラムでは、これの廃案を求め、
大野さんは「全校児童に遊びや体験の場を、というすくすくの理念に反対しているのではない。
児童福祉法にのっとり、よりよいものにしてほしい」と訴える。

 全国学童保育連絡協議会の真田祐(ゆたか)事務局次長は
「国が法的根拠をつくって学童保育を推進しているのに逆行している。
区の『あらゆる子どもを分け隔てなく』というのは聞こえはいいが、
発達に応じた保育を望む保護者のニーズからはかけ離れてしまう」と警鐘を鳴らす。

 区教育推進課の柴田靖弘課長は
「すくすくは、文部科学省の放課後子供教室の補助を受けている。
定員や専用室を設けるという、子どもを隔離するような
児童福祉法の考え方は区と相いれない。
来年度以降も、希望者は全員受け入れる学童クラブ機能を併せ持つ、
すくすくの運営内容は変わらない」と説明する。

 <放課後児童クラブ(学童クラブ)> 
厚生労働省が所管する福祉事業。
保護者が就労等で昼間いない家庭の児童に対し、
授業後や学校が休みのときに遊びや生活の場を与え、児童の健全な育成を図る。
児童福祉法改正に伴い、来年度から国が省令で規定した指導員の資格や
児童1人あたりの面積に基づいた明確な基準で運営される。

 <放課後子供教室> 
文部科学省が所管する教育事業。地域の子ども全般に対し、
主に学校施設で地域の人々の参画を得て学習や体験活動の場を
継続的に提供することで、子どもたちの社会性や地域社会の教育力の向上を狙う。
昨年度は全国の公立小学校の51%にあたる1万376カ所で開かれた。
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