検定教科書で道徳教育 評価導入、2018年度から 中教審、教科化を答申

47NEWS
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 中教審( 安西祐一郎 (あんざい・ゆういちろう) 会長)は
21日、現在は正式な教科ではない小中学校の「道徳の時間」を教科に格上げし、
検定教科書と評価を導入するよう下村博文文部科学相に答申した。
授業は原則として担任が行い、評価は5段階などの数値ではなく記述式とする。

 授業時間数は現状を維持し、小1は年34時間、小2~中3は年35時間。
年度内に学習指導要領を改定し、教科書作成の指針となる解説書と
教科書検定基準も来年夏までに作成する方針。
教科書の作成から使用までに3年かかるため、教科化は2018年度からとなる。

 安倍政権が意欲を示してきた道徳教育の強化が実現することになる。

 答申を受け取った下村文科相は「必要な制度改正や
教員の指導力向上などに全力で取り組んでいく」と述べた。

 内容については、指導要領に「誠実」「正義」などのキーワードを明示して分かりやすくし、
情報モラルや生命倫理といった現代社会の課題も充実させるよう求めた。

 教科書を中心的な教材と位置付け、「民間の創意工夫を生かし、
バランスの取れた多様な教科書を認める」と強調。
各地域の郷土資料などの活用も重要だと指摘した。

 また、教科化に伴い、専門免許状の創設や、
教員養成課程のカリキュラムの改善などを検討する必要があるとした。

 新指導要領の実施は中学校が小学校より1年遅いのが通例で、
中学校は19年度からとなる可能性がある。
文科省は18年度より前に新指導要領の内容を先取りした授業の実施も検討しているが、
その場合は文科省が作成、配布している
現在の教材「私たちの道徳」を使うことを想定している。

 道徳の教科化は、政府の教育再生実行会議が昨年2月に提言。
文科省の有識者会議は昨年12月に教科化した上で
検定教科書や評価を導入するよう求める報告書をまとめ、
下村氏が今年2月に中教審に諮問した。

 ▼教科化の議論素通り 道徳教科化答申

 【解説】道徳の教科化は第1次安倍政権の教育再生会議でも提言されたが、
個人の内面の評価につながるなどとして中教審では慎重論が根強く、見送られた経緯がある。
再生会議には政財界の委員が多く、
教育の専門家らで構成する中教審とは考え方に隔たりがあることが浮き彫りになった。
 ところが、前回と比べて学校や子どもを取り巻く状況に大きな変化はないのに、
今回は中教審から目立った異論もなく教育再生実行会議の提言通りに教科化が決まった。
 結果を分けたのは、前回より政権自体に勢いがあったことに加え、
文部科学省が実行会議と中教審の間に設置した有識者会議の存在がある。
主に教科化を目指す教育関係者がメンバーとして選ばれ、
検定教科書と評価の導入を盛り込んだ報告書を作成。
この報告書が教科化の流れをつくり、
中教審に諮問された時には外堀は埋められていた。
 今回の中教審の審議は「学習指導要領には
授業の狙いを分かりやすく記述すべきだ」といった教科化を前提とした議論に終始し、
そもそも教科にすることが適当かを問う場にはならなかった。
 だが、学校現場には依然として教科化への不安が根強く残っている。
なぜ教科にするのか、文科省には現場に対する丁寧な説明が求められる。
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