児童の行方不明情報 公開時期、悩む学校現場

神戸新聞NEXT
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 行方不明になった子どもの情報をどの段階で公開するかの対応が
学校や地域で分かれている。
誘拐などを想定する警察は事件性の判断を優先する一方、
学校などは早期発見に向けた素早い情報共有を進める。
神戸市長田区の小1女児殺害事件では、
交流サイト「フェイスブック」で発信した情報が警察の公開手配に先行。
情報伝達の手段が多様化する中、公開の基準はなく、関係者の手探りが続く。

 長田区のケースでは9月11日午後7時すぎ、家族が警察に通報。
約20時間後の12日午後3時前に兵庫県警が公開手配に踏み切った。

 一方、女児の通う小学校は11日夜、警察からの連絡を受け、
職員らが通学路などを捜索。近隣の学校にも協力を依頼する中で、
12日午前には行方不明情報がフェイスブックなどで公開されたという。

 札幌市教育委員会などによると、1月に小3女児が行方不明になった際は、
女児の家族が最初に学校に連絡。
家族の同意を得て学校が児童の保護者に一斉メールを送信。
その後、警察にも通報し、約52時間後に公開手配され、監禁容疑で男が逮捕された。

 同市教委は「雪山や落雪に埋まっているかもしれず、早く捜す必要があった。
一斉メールはこの学校独自のケース」と強調する。

 一方、岡山県倉敷市教委などによると、
7月の小5女児の行方不明では女児の家族が学校と警察に連絡。
学校は通学路を捜した後は捜索を警察に任せた。
警察の公開手配を受け、保護者やほかの学校にも連絡した。
その後、男に監禁されていた女児が保護された。

 同市教委は「事件性も疑われ、
学校や市教委だけの単独判断は難しいと判断した」とする。

 9月に行方不明になった京都市の小6女児は4日後に姫路市内で無事保護され、家出と判明。
しかし、インターネット上には警察などが公表した氏名などの個人情報が今も残る。

 行方不明になる前の様子や持ち物、目撃情報などで対応は分かれる。
警察庁は「身代金目的誘拐の可能性があるのかなど一定の捜査をしなければ判断できず、
すぐに公開手配はできない」と説明する。

 一方、犯罪社会学に詳しい小宮信夫立正大教授(58)は
「行方不明と分かった時点で公開し、
不特定多数の人に広く早く情報を求めるのが望ましい」と強調。
札幌市では公開情報を覚えていたタクシー運転手の情報が
有力な手掛かりになったことを挙げ、
「保護者の同意が得られれば、緊急地震速報などのように
一斉に広く情報をつなげられるような仕組みづくりを整える必要がある」と訴える。(阿部江利)
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