子供のアトピー、入浴は毎日でも2~3日に1回でもOK―米学会


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 多くの子供が苦しんでいるアトピー性皮膚炎、治療で重要なのが保湿だ。
入浴は体が清潔になる一方、汚れとともに肌の潤いも奪い去ってしまうので、
保護者も悩ましいところだろう。
米小児科学会は11月24日、同学会の機関誌「Pediatrics」(電子版)に
アトピー性皮膚炎のケアに関するガイドを発表、
入浴については「毎日でも2~3日に1回でもOK」とし、
入浴後のスキンケアの重要性を訴えた。

入浴回数「十分な検討なく議論が続いている」

 汗や汚れはアトピー性皮膚炎の原因になるため、
清潔に保つことは重要な予防法の一つだ。
しかし、入浴は肌のバリアーをもろくしてしまうため、もろ刃の剣となっている。
そこで大切なのが、入浴後のスキンケア。
日本の治療ガイドライン(指針)では、
入浴やスキンケアについて以下のように勧めている。
  • 汗や汚れは速やかに落とす
  • 強くこすらない
  • せっけんやシャンプーを使用するときは洗浄力の強いものを避け、十分にすすぐ
  • かゆみを生じるほどの高い温度の湯を避ける
  • 入浴後にほてりを感じるような沐浴(もくよく)剤、入浴剤を避ける
  • 入浴後に適切な外用剤(塗り薬)を塗る
こうしたことを踏まえた上で米国小児科学会は、
アトピー性皮膚炎治療の基本は肌バリアーの修復・維持を目標に
スキンケアを続けることとし、以下の点などを推奨した。
  • 子供が入浴を楽しんでいれば毎日10~15分、ぬるめのお湯につかってもよい。もし、入浴を楽しんでいない、水分が子供の肌に刺激を与えていると感じるときは入浴を2~3日に1回にする
  • せっけんは刺激の少ないものを汚れた場所、入浴の最後にのみ使用する
  • 入浴後には体の水分は軽く押さえて取り、湿ったままにしておく
  • 保湿剤(クリームや軟こうが望ましい)を顔と体全体に塗る
  • 処方された外用剤や保湿剤は入浴後数分以内、肌が完全に乾かないうちに使用すべき
  • 処方された外用剤は赤みや湿疹がなくなるまで続ける。2週間経っても湿疹が改善しない場合には医師に相談する
  • 湿疹がきれいになった後も顔全体、全身の保湿を続ける
なお、同学会は「アトピー性皮膚炎の子供の適切な入浴回数について
十分な検討がなく、議論が続いている」と指摘。
入浴後に保湿が行われていれば、浴槽につかることや
毎日の入浴は患者にとって利益があるとの報告を紹介し、
個別の入浴回数は患者の状態や本人の入浴に対する意欲に応じて
調節すべきとの見解を示している。

食物アレルギーとの関連に疑問

 ガイダンスではこのほか、食物アレルギーとの関連について
「複雑な関わりがあるが、その関連が強調され過ぎている模様」と指摘。
「真の食物によるアトピー性皮膚炎はまれ」で、
食物アレルギーと確定していない場合、
卵アレルギーなど一部を除き、特定の食べ物を食べないようにすることを
支持する根拠は少ないとする米政府機関の見解を紹介した。

 一方、アトピー性皮膚炎を起点に喘息(ぜんそく)や
アレルギー性鼻炎を発症する「アレルギーマーチ」については、
早めにアトピー性皮膚炎を治療することで進展を抑えられる可能性を示す報告を紹介。
また、スキンケアをしているにもかかわらず十分な効果が得られない場合には、
アレルギー性接触性皮膚炎(ACD)の可能性も考えるべきとしている。------------------------------------------------------------------------------------------------