日本の子供 腸内環境はアジアで1位 ビフィズス菌が豊富

Hazard lab
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アジアの5つの国や地域に住む子供の腸の健康状態を調べた
九州大学などのグループは、「日本の子供の腸は他国と比べてビフィズス菌が多く、
大腸菌が少ない」と結論づける調査報告を発表した。
腸内環境を見る限り、日本の子供は優秀とするユニークな研究だ。

 ヒトの腸内には、数百種、百兆個に及ぶ細菌がおり、
それらが「細菌叢(そう)」と呼ばれる”生態系コミュニティー”を形成している。
「細菌叢」には毎日の食事や服用している薬、
生活環境や遺伝的要因によって個人差がある。

 九州大学大学院の中山二郎准教授やシンガポール国立大学らの国際グループは、
食文化や人種が異なるアジア諸国に住む人々の腸内環境に着目。
日常生活で外国の食文化の影響が少ない7歳から11歳までの子供を対象に、
303人の便を採取して「細菌叢」の違いを調べた。

 調査には日本、中国、台湾、タイ、インドネシアの5カ国で、
それぞれ都会と地方の2箇所を選び、各地域25人以上を対象とした。
その結果、アジアの子供の腸内には、2つのタイプの細菌叢があることがわかった。

 1つは、日本、中国、台湾に多い、ビフィズス菌と
バクテロイデス属細菌を主体とするBBタイプ。
2つ目は、インドネシアとタイのコンケンに目立つ、
食物繊維の分解酵素が強いプレボテラ属細菌を主体とするPタイプだった。

 なかでも日本の子供の腸内細菌叢は非常に特徴的で、
他国に比べてビフィズス菌が多く、悪玉菌とされる大腸菌が少なかった。
また、検出される細菌の種類が少なく、個人差も小さいことから、
良好な健康状態であることがわかった。

 中山准教授は「日本や中国の子供に善玉菌のビフィズス菌が多いことが示されたため、
この地域の食文化に注目が集まるだろう。
しかし、日本の子供たちには、アレルギーが多く、
感染症にかかりやすいとも言われることから、
免疫系の観点からは必ずしも良好とは言えない」と指摘し、
今後は、食事のどの要素が腸内のビフィズス菌を増やしているかを探って、
健康に及ぼす効果を検討していくと話している。

 なおこの調査結果は、英Nature姉妹誌「Scientific Reports」に掲載された。
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