広がる「運動遊び」 小浜の専門保育士に期待

福井新聞
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 体を動かす遊びを通して懸垂力や跳躍力を養い、
子どもの脳を活性化させようという「運動遊び」が
全国の保育現場で広がりをみせている。
子どもの学力、体力ともに全国トップクラスを誇る本県も、
さらなる充実を求めて導入を進めてはどうだろう。

 小浜市児童福祉審議会が2月にまとめた
「子ども・子育て支援事業計画案」では運動保育の重要性を指摘し、
全保育園への運動専門保育士の配置を求めた。
これを受け、同市では新年度から運動プログラムを研修する専門の保育士を養成、
今後5年間で全保育園に配置する計画だ。

 運動遊びを提唱したのは、松本短大(長野県松本市)の柳沢秋孝教授。
1998年から運動遊びが大脳活動に与える影響の研究に着手し、
独自の運動保育支援プログラム「柳沢運動プログラム」を考案した。
柳沢教授は自著「からだ力がつく運動遊び」(主婦の友社発行)の中で
「幼児期の全身運動は、感情をコントロールする意志力や社会的知性、
ひいては心の発達も促す可能性がある」と効果を説いている。

 このプログラムをいち早く導入し、効果を上げたのが兵庫県豊岡市だ。
2007年度から市内の保育園や幼稚園で運動遊びをスタートさせた。
同市教委はNPO法人「運動保育士会」と共同で、
運動遊びが子どもの脳に与える影響について調査を続けている。
柳沢教授の長男でNPO代表の柳沢弘樹さんによると、
5、6歳児18人に対する調査で、運動遊びの後、
脳の血流量が増加し活性化したのが17人。
一方、一人で走り続けた場合は7人にとどまったという。
「楽しく運動した方が脳に良い影響を与える」と分析している。

 昨年11月に豊岡市で開かれた研究会
「運動遊びフォーラムinとよおか」には、
関心を持つ全国の自治体関係者ら約220人が参加した。
▽子どもの集中力が増した▽人前で大きな声で話せる子が増えた―などの報告があった。

 小浜市児童福祉審がまとめた計画案(15〜19年度)の概要版によると
▽地域の子育て支援▽子どもと親の心と体の健康増進
▽社会的支援が必要な児童への対応−など六つを施策に掲げた。
中でも市独自の取り組みとして運動保育の必要性を強調した。
松崎晃治市長も「運動保育は以前から大切と感じていた」と賛同し、
新年度から取り組むことになった。

 運動遊びでは大人が子どもに関わり、積極的にほめることも大事とされる。
『すごいなあ』と言われた子どもは目がキラキラ輝く。
自信と協調性を育む運動遊びを、保育園や幼稚園だけでなく、
小学校でも継続してはどうか。
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