【学童保育どこいく】4月新制度 指導員に専門資格、事業補助 市町村が運営基準

西日本新聞
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 4月からの「子ども・子育て支援新制度」では、
保育所や幼稚園だけでなく、小学生が放課後や夏休みなどに過ごす
「学童保育」(放課後児童クラブ)も大きく変わる。
子どもたちの「生活の場」であるべき学童保育が、
市町村の事業としてきちんと位置づけられ、行政の責任が明確になる。
質や量の充実に、期待が高まっている。

 先月、福岡県春日市で開かれた同県学童保育研究集会。
新制度について解説した全国学童保育連絡協議会(東京)事務局次長の
真田祐さん(59)は、「国に求めてきたことがやっと形になった。
学童保育は新しい時代に入った」と感慨深げに語った。
参加した指導員や保護者たちは、具体的な内容について熱心に質問した。

 新制度は多岐にわたるがポイントを三つ挙げると、
(1)市町村が事業主体になる(2)指導員の新資格ができる
(3)さまざまな事業が予算の対象となる-ことだろう=図参照。
ポイントごとにみていきたい。

 (1)市町村が事業主体に

 これまで市町村は「学童保育を利用しやすくする努力義務」に基づいて運営していたが、
新制度では国の基準に基づき、自ら基準を定め、
事業計画を立て、実行しなければならなくなる。

 国は既に基準として、定員はおおむね40人以下
▽広さは子ども1人当たりおおむね1・65平方メートル以上
▽新しい専門職「放課後児童支援員」を2人以上置く-など示している。
こうした基準は、国が今月末に決定する「放課後児童クラブ運営指針」にも盛り込まれる見通し。
市町村は各学童保育がこうした基準で運営できるよう、態勢を整えなければならない。

 現在全国で学童保育に通う子どもたちは約94万人。
待機児童は判明しているだけで1万人近くに上る。
子どもが小学校に入学するときに保護者が仕事を辞めざるを得ない
「小1の壁」が問題になっており、潜在的な待機児童はより多いとされる。
国は2019年度末までに約30万人分の受け皿を増やす目標を掲げている。

 (2)新資格ができる

 新しい資格「放課後児童支援員」は、指導員を専門職と位置づけ、
学童保育の質を高めるために設けた。
都道府県が行う研修を修了すると認定される。
1時間半の授業が16科目(計24時間分)。
高卒以上で2年以上現場経験のある指導員のほか、
保育士や社会福祉士、教員免許のある人などが対象となる。
5年間は経過措置がある。

 例えば福岡県の場合、指導員は現在約4千人いる。
県内4地区で年800人を対象に研修を行い、
5年間に現在と同じ4千人規模の支援員を認定する計画だ。
同県は「夏休み前には研修を始めたい」という。

 (3)多様な取り組みに予算

 新制度では、市町村がより積極的に取り組めるよう、
さまざまな補助事業のメニューを用意している。待機児童解消のため、
民家やアパート、空き店舗などを活用する場合の家賃補助
▽子どもの安全確保のため、地域の高齢者や主婦が送迎する場合の補助-などだ。
このほか、午後6時半以降も子どもを預かったり、
障害のある子どもを5人以上受け入れたりする場合、
職員配置のための運営費も補助の対象となる。

 ただ、こうした事業も、予算の一部を負担する
市町村が申請しなければ補助を受けられない。
真田さんは「市町村に対し必要なことを求めていく姿勢が大切だ」と指摘している。
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