重度障害児を在宅保育 NPO法人に西友が資金 新宿、豊島で来月から

東京新聞
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 医療ケアの必要な子どもが既存の保育所に入るのは難しく、
親は就労を諦めざるを得ない-。
こうした実態を改善する一歩にしようと、
NPO法人フローレンス(千代田区)と大手スーパー・西友(北区)が、
医療機関や近隣の保育施設と連携した新たな在宅保育サービスを四月に始める。
保育スタッフが障害児の自宅でマンツーマンの保育を行う。
当面の対象地域は豊島区と新宿区で、ニーズに合わせてエリアの拡大を検討するという。
 (安食美智子)

 厚労省の統計では、たん吸引などの医療的ケアが必要な
重度心身障害児は全国に約一万七千人(二〇〇九年度)。
新生児医療の進歩で多くの命が救われる一方、
重度の心身障害のある子どもが増えている。
しかし、子ども向けの訪問看護や、家族に代わって子どもの世話をする自治体の
「レスパイトケア」は不足しているという。

 フローレンスが西友の資金助成を受けて始める新たなサービスの名称は
「障害児訪問保育アニー」。
主に一歳~未就学児の重度心身障害児や知的障害児などが対象。
年十五人の利用を見込んでいるという。

 「特定行為業務従事者」の認定や研修を受けた保育士を家庭に派遣し、
親の就労中にたん吸引のほか、鼻から栄養を送る経管栄養などの
簡易な医療ケアを行う。
かかりつけ医の指示書に基づき、
フローレンスのステーションから看護師が毎日訪問、子どもの健康状態を確認する。

 四月から始まる子ども・子育て支援新制度で、
自治体の認可事業となる「居宅訪問型保育」に位置づけられる。
昨年九月、杉並区に障害児専門保育園「ヘレン」(定員十五人)を開設すると、
申し込みが殺到してニーズの高さを裏付けた。
フローレンスの駒崎弘樹理事長は「障害児の預け先は極端に不足している。
子どもの自己肯定感と希望を育んで、親の就労を支えていきたい」と話している。
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