妊娠中にビスフェノールA(BPA)にさらされると、出産後に母親も糖尿病になりやすく?



Medエッジ
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プラスチックや接着剤などの製造に使用される化学物質、ビスフェノールA(BPA)は、プラスチックのびんやレジのレシートなどさまざまな日常品に含まれ、米国疾病対策センター(CDC)の推定では、米国人の96%が体内にビスフェノールAを持っているという。

 妊娠中にビスフェノールAにさらされた母親は、出産後に耐糖能障害が発生して糖尿病になりやすくなる可能性があるようだ。このたび動物実験での検証結果が報告されている。

環境内によくあるビスフェノールA

 スペインのエルチェ・ミゲル・ヘルナンデス大学を含む研究グループが、米国内分泌学会が発行するエンドクリノロジー誌のオンライン版で2015年4月1日に報告した。

 ビスフェノールAはホルモンの作用を強めたり、邪魔したりすると判明しており、生殖や代謝機能に有害な影響を及ぼして、糖尿病や肥満をもたらすという証拠が集積しつつある。

 一方でその影響は見方が分かれている面もある。

 研究グループは、妊娠中にビスフェノールAにさらされた場合の長期的な影響を調べるため動物実験を実施。妊娠9〜16日に毎日体重1kgあたり0.01mgまたは0.1mg(環境に存在する程度の量)のビスフェノールAにさらされる環境に置くグループ、さらにビスフェノールAにさらされる環境に置かないという3グループに分け、出産後に砂糖の代謝能力を測定して比較した。

耐糖能に長期の影響

 出産から4カ月後、ビスフェノールAにさらされたネズミは耐糖能障害の兆候を示し始め、6カ月後には耐糖能検査で2時間にわたり血糖値が下がらなかった。

 7カ月後に、インスリンを生産する膵臓の「β細胞」を調べたところ、ビスフェノールAにさらされたネズミはβ細胞の量とインスリン分泌量が少なかった。

 また、ビスフェノールAにさらされたネズミは、さらされなかったネズミよりおよそ3%体重が多い傾向があった。

 妊娠していないメスのネズミを同量のビスフェノールAにさらしても、糖代謝やインスリン感受性に影響しないことから、妊娠中の影響が関係すると思われる。

 ビスフェノールAがβ細胞の機能を調節してインスリン抵抗性を誘導する天然ホルモンのエストラジオールの作用を示すことが原因と考えられる。

 子どもが子宮内でビスフェノールAにさらされると糖代謝が損なわれることは多くの研究で判明しているが、母親にも過体重やメタボリックシンドローム、糖尿病などの長期影響を及ぼす可能性がある。

 動物実験のレベルなので、人間で同じような影響が現われるかは未知数ではある。とはいえ、妊娠中に限って影響が出ているという結果。プラスチック容器の食事を避けるというように少し気を付けておくといいかもしれない。
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