少子化対策大綱 男性の育児参加を促進しよう


読売新聞
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 少子化の流れに歯止めをかけるには、若い世代が希望通りに結婚や子育てができる環境を整えることが重要だ。
 政府は、新たに決定した「少子化社会対策大綱」で、今後5年間を集中取り組み期間と位置付けた。着実に実行せねばならない。
 1人の女性が生涯に産む子供の平均数を示す合計特殊出生率は、2013年時点で1・43だ。やや改善傾向にあるが、人口を維持できる2・07にはほど遠い。
 大綱が指摘する通り、「社会経済の根幹を揺るがしかねない危機的状況」と言えよう。
 注目されるのは、男性も育児や家事を担うよう、大綱が促した点だ。「男性の参画が少ないことが、少子化の原因の一つ」と強調し、長時間労働の是正など「働き方改革」を重点課題に掲げた。
 日本の男性が育児・家事に費やす時間は、世界的に見て最低レベルにある。6歳未満の子供を持つ男性の場合、1日平均1時間7分で、欧米の3時間前後に比べて、大きく見劣りする。
 厚生労働省の調査では、夫の育児・家事時間が長いほど第2子以降の生まれる割合が高い。大綱が、1日2時間30分に増やす目標を示したのは、うなずける。
 男性の育児休業取得率を今の2%から13%に引き上げる。妻が出産した際の夫の休暇取得率を8割とすることも打ち出した。
 育児に関わりたい男性は多くなっているが、職場への遠慮から、休むのをためらいがちだ。
 共働きが増える中、家事・育児を女性任せにしていては、出生率の回復は望めない。短時間で効率よく働き、仕事と生活の調和を図る。政府が掲げる「女性の活躍推進」の上でも重要な視点だ。企業の意識改革が求められる。
 保育所の増設など、子育て支援の充実は欠かせない。4月に始まった子ども・子育て支援新制度で、待機児童の解消を確実に実現してもらいたい。
 大綱は、若い世代への結婚や出産の支援も重点課題とした。
 結婚や子育てを望んでいても、経済的な事情であきらめる人が増えた。低賃金で雇用が不安定な非正規労働者の増加などが背景にある。男性の既婚率は、正社員と比べて著しく低い。
 非正規労働者の処遇改善や正社員への転換支援が必要だ。
 子育てにかかる経済的負担の軽減策として、奨学金の拡充などを検討すべきだ。特に、子供の多い世帯への配慮が大切である。
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