子どもの睡眠障害増加 糖尿病、発達障害と関連も


中日新聞
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早寝、早起き、朝ご飯」で規則的な生活リズムの回復を心掛けようとしても、正しい睡眠リズムを取り戻せない睡眠障害の子どもが増えている。塾通いや部活が直接の原因だが、糖尿病や発達障害との関連も指摘されている。
 「朝起こしても体が動かない。起き上がるまでに三時間。親子げんかも激しくなり追い詰められました」
 大阪市内の主婦(45)は、中学二年の長男(13)の睡眠に悩む。長男は小学六年からの塾通いを機に、帰宅後も緊張や興奮が続き就寝時刻が午前一時になり、朝に起床できなくなった。「親が起こす声が聞こえても体が動かない」と、いつしか不登校になった。
 母子は一月、兵庫県立リハビリテーション中央病院(神戸市)内で、睡眠障害を治療する「子どもの睡眠と発達医療センター」を訪れた。小西行郎センター長の指導で、睡眠薬や、眠りのリズムを整える天然ホルモンのメラトニンを服用し、睡眠時間を記録。午後九時に服用し、午後十時に就寝するようにした。
 その結果、起床にかかる時間を三十分に短縮できるまでに回復した。長男は「春から学校に行くつもり。頑張りたい」と話す。
 子供の睡眠時間は短くなっている。ベネッセ教育総合研究所の調査(二〇一三年)では、平均的睡眠時間は小学生八時間二十七分、中学生七時間十九分、高校生六時間三十五分。起床時刻は午前六時台といずれも早いが、中高生の平均就寝時刻は午後十一時を回る。
 小西さんは「どの年代も十分ではない。特に眠りの核となる午後十一時~午前三時の時間帯に、しっかりと睡眠が取れていない現状は問題だ」と強調した。
 同センターには、全国から月に約五十人の初診患者が訪れ、順番待ちの状態だ。小西さんは「規則的な生活を習慣づければ治るレベルではなく、治療が必要な子も出てきた」と言う。
 睡眠障害は主に、(1)昼夜逆転(2)寝る時間が少しずつ遅くなる(3)仮眠で起きられない(4)夜中何度も起きる-の四パターンがある。明確な診断基準はないが、いずれかのパターンに該当し、不調を訴えていることが治療の端緒になるという。
 早寝早起きに取り組むことに加え、メラトニンや睡眠剤などの薬物療法、朝に光を浴びることで生体リズムを取り戻す高照度光療法や低温サウナ療法などが行われる。治療がうまくいかなかったり、体力の消耗が激しいと入院になる。
 小西さんによると、思春期を迎えてホルモンバランスが不安定になる時期に、塾通いや部活動、インターネットの長時間利用などの環境的要因が重なると睡眠障害の引き金になる。新生活の緊張感が和らぐ大型連休明けから患者が増え、夏休み明けに不登校が増加。受験シーズンが迫る年末には入院する子も出てくる。
 睡眠障害は病気や障害とも関連する。同センターのこれまでの調査によると、入院患者の約三分の二が、広汎性発達障害の症状を総称した自閉症スペクトラム障害というデータがある。25%が糖尿病予備軍とされる境界型糖尿病で、インスリンの分泌パターンに異常が見られている。
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