「子育てシェア」を事業化 ママとシニア同時に応援

子育て支援に取り組む甲田社長


ZAKZAK
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 度々団塊の世代の起業家をご紹介してきたが、団塊ジュニアは初めてだ。「AsMama(アズママ)」社長・CEOの甲田恵子さん(40)が起業の狙いを語る。

 「困ったときに安心して頼れる人が飛んできてくれるとか、社会貢献的なことをしてお金が得られることって当たり前だよね、という世の中を作りたいと思っているんです」

 IT企業に勤めていた2005年に長女を出産。その後ベンチャー投資会社に転職し、広報・IR(投資家向け広報)の仕事に従事したが、9割の社員が解雇されるという荒っぽいリストラで09年3月に退職を余儀なくされた。

 多くの女性は結婚・出産を機に離職する。家事や育児の悩みがブレーキになって働きたくても働けない。こうした現状に憤りを募らせていたところへ退職後に通った職業訓練校の教官に「ここで勉強しても多分職には就けないだろう」と言われてショックを受け、起業を決意。09年11月にAsMama(本社・横浜市)を立ち上げた。

 地域社会の顔見知り同士が助け合う「子育てシェア」の事業をメーンに展開する。近所の支援者やママサポーター(略称ママサポ)が1時間500円のワンコインで送迎や託児を頼り合うサービスを開発した。働くママたちを積極的に支援するママサポはAsMama公認の世話人だ。目下の課題はアクティブシニアを巻き込むこと。

 「送迎・託児を頼まれれば謝礼がもらえますし、イベント運営のお手伝いをしていただければ時給も支払われます。子育ての経験や知識のあるシニアの方も、ぜひママサポになっていただければと思います」

 少子化で子供の数は減少の一途をたどる。AsMamaの事業は先細りになるのではと意地の悪い質問をすると、「このサービスは今後、介護や障害者のお世話など他の分野にも広がっていくと思います」とそつなく答える。さすが元広報のプロだ。

 甲田さん自身子育てに苦労したが、「ママサポに助けてもらって、いまは安心して仕事ができます。子育てが原因の夫婦げんかが非常に減りました。主人が一番喜んでいると思いますよ」と笑う。

 会社経営は子育てと同じだという。生まれたばかりの会社という子供を大きく健やかに育てることができるかどうか、経営手腕が試されるのはこれからだ。

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