補助人工心臓の治験、子供9人全員生存 東大公表

点滴を受ける子供のイラスト(ソフト)
産経ニュース
------------------------------------------------------------------------------------------------
 東京大は29日、ドイツの医療機器メーカー、ベルリンハートが開発した小児用補助人工心臓「EXCOR(エクスコア)」の国内での臨床試験(治験)で、装着した子供9人全員が現在まで生存し、健康状態の改善にも効果があったとする結果を公表した。
 治験の一部の成績を基に厚生労働省は6月に国内販売を承認、8月からは保険適用されている。
 東大と大阪大、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)で治験を実施。平成24年8月から今年4月にかけて、おおむね1カ月で死亡するとみられる重症の心不全を患う0~13歳の9人に装着する手術を行った。装着期間は平均250日以上で、全ての子供が生存。重い合併症が出た子供もいたが、生活に支障がない程度にまで回復した。9人のうち5人はすでに心臓移植を受けたとしている。
 補助人工心臓は、心臓のポンプ機能を支援する形で体外に装着し、移植を待つ間のつなぎとして使われる。
 東大の小野稔教授(心臓外科)は「日本のあらゆる地域で、心不全の子供の命を救う治療を進めたい」と話し、新たな治療施設の認定に向けた作業を進めていることを明らかにした。
 小児用の補助人工心臓をめぐっては今年1月、未承認のためEXCORを使えなかった6歳未満の女児が脳死となり、両親が早期承認を求めるコメントを発表。厚労省は「医療上の必要性が極めて高い」として優先的に審査を実施した。
------------------------------------------------------------------------------------------------