保育士配置基準 緩和の動き 朝夕1人・無資格も容認 厚労省 なし崩しで政策転換

本をよむ保育士の先生とこども(ソフト)
しんぶん赤旗
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厚労省は“保育士不足”を口実に保育士配置基準を緩和する動きを強めています。
 4月から「保育士確保が難しい地域」で、朝夕の子どもが「少数である時間帯」に保育士を現行の2人から1人にすることを認める事務連絡が厚労省から出ました。
 事務連絡について厚労省保育課は、「例年以上に保育士確保が難しいとの声があったので、今年度に限って認めることにした」と説明します。しかし「例年以上」の根拠も示されていません。
 保育者2人のうち1人を無資格者に置き換えることについて、「研修を受けた保育ママなどで、まったくの無資格者ではない」としていますが、事務連絡では「保育施設の十分な業務経験」や「家庭的保育者等」としているだけで、結局は自治体任せになる内容です。
 保育所の朝夕は登園やお迎えに対応する時間帯で、子どもの健康状態などについて保護者と保育士が意思疎通を図る必要があります。保育士が2人を下回ってはいけない、という最低基準は、子どもの発達保障のための最低限のものです。
 これまで厚労省は、保育士不足を理由に規制緩和を求める声に対し、「保育の質を確保する上で、地域の実情に対応するためとはいえ、保育士以外の者を保育士とみなすことは適当ではない」(地方分権改革に関する提案への回答、2014年8月)と表明してきました。再考を求める意見(同年9月)に対しても「保育の質」を理由に認めず、事務連絡はまったく矛盾した対応です。
 安倍政権は、4月からの規制緩和に続いて、「成長戦略」(6月、閣議決定)に「来年度以降のあり方について本年度中に結論を得る」と盛り込みました。保育士1人の恒久化が狙いです。厚労省保育課は「実施状況を検証の上、検討を進めていく」としています。なし崩しの規制緩和は国民の批判を免れません。
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