「リストラ・ひも・ウツ」 育児に協力するオトコの世間体 主婦業は誰でもできる“仕事”なのか



日経ウーマンオンライン
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健康社会学者の河合薫さんが手がけるコラム「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」(日経ビジネスオンライン)より、働く女性が職場で生き抜くヒントを教えていただきましょう。今回は、最近増えてきている“イクメン”を通じて、「主婦業・主夫業」について考察します。あなたの周囲には、育児に積極的に取り組んでいる男性同僚や部下、上司はいますか? もしかすると、肩身の狭い思いをしているかもしれません。
 リアクションに困る――というのは、こういうときのことを言うのだろう。
 「やっぱりね、女性は家で子育てをしっかりやるのが正しいですよ。“男まさり”の女性が増えちゃったから、男たちがひ弱になった。家族を養わなきゃって思うからこそ、必死で働くし、モチベーションも上がって出世するんです」
 (えっと…、そのなんというか、いや、まぁ、すみません。わ、私もソノ“男まさり”群なるものに、カウントされているわけですね?)
 「ウチの会社はね、育児休暇だけは男もちゃんと取れって言ってるの。出産のときだけは、ちゃんと休んで家族サービスしろって。私なんて子どもが産まれたときに出張行って、いまだに女房にそのときの文句言われちゃうからさ。先生が言ってたとおり、誰だって自分の存在価値とか、必死でやったことを認めてほしいからね。だから女房が子どもをがんばって産んでくれたときには、“よくやった。ありがとう”って言って労わなきゃ!」
 (そ、そうですよね。……。それはそのとおりなんですけど…)
※()の中は、私の心の声だと思ってください。
 これは経営者の方たち(部長クラスの方も数名いました)を対象にした講演会での出来事。
 講演会後の懇親会で、1人の経営者の方が、実にリアクションに困る、件の自論を展開したのである。
 しかも、この方。その数分前まで、「女性がどんどんリーダーになっていった方がいいですよ。社内を見渡しても、女性の方が優秀ですから」と言っていたので、余計に驚いた。
 といっても、こういった意見を面と向かって言われたのは初めてじゃない。
 数年前に「出産したら女性は会社をお辞めなさい」との発言を作家の曽野綾子さんがし、それに対する記事を書いたときには、「でも、私はどちらかというと曽野さんの言う通りだと思うんです」と、賛同する人の多さに驚かされた。
 また、イクメンという言葉が市民権を得てからは、「育児に積極的な社員=男の女性化」というニュアンスの意見もしばしば耳にするようにもなった。
 現場でふと垣間見えるホンネ――。聞き逃してはならない瞬間でもある。
 しかも、今回の“ホンネ”は、思わぬ方向に広がり、ますますリアクション不能状態に陥った。
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