認可保育拡大、恩恵まだら 都市部、3歳未満は定員増東京都足立区の小規模保育「てのひら保育園」

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東京都足立区の小規模保育「てのひら保育園」

朝日新聞
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 認可保育施設に入れない待機児童が5年ぶりに増えた。「子ども・子育て支援新制度」への期待感が背景にあるが、100人以上増えた自治体も16市区に上った。一方、全体の3割を占める東京都が3年ぶりに減るなど、都市部を中心に新制度の効果も出ている。

 東京都足立区の小規模保育「てのひら保育園」は商業施設の1階にある。かつて岩盤浴サロンだった136平方メートルの店舗を改修。4月には隣に「第2てのひら保育園」も開園した。
 4月から次男(1)を預けている自営業の横尾結子さん(38)は「認可施設への入園は無理だと思っていた」と話す。長男(5)のときは入園先が見つからず、職場復帰を諦めた。「次男の入園が決まったときは、自分の働き方を認めてもらえたようでうれしかった」
 新たに認可対象になった小規模保育は認可保育所より小さい面積のため、空き店舗やマンションの一室などを活用し短期間に整備できる。都市部で待機児童の8割以上を占める0~2歳児の受け皿と期待される。
4月1日現在で認可された小規模保育は全国で1655カ所。都道府県別では埼玉が231カ所で最も多く、東京(219カ所)、大阪(163カ所)が続いた。一緒に認可対象となった家庭的保育からの移行もあり、定員は昨年から約2万2千人増えた。厚生労働省はさらに整備を促そうと、施設整備費などの補助を来年度予算の概算要求に入れた。
 ただ、小規模保育の対象は2歳児までのため、保護者には「3歳の壁」が待ち受ける。新制度は小規模保育などの事業者に対し、卒園児を受け入れる「連携施設」の確保を義務づけたが、3歳以上を預かる施設に空きがないことも多い。
 東京都板橋区で4月に開園した小規模保育の事業者は「連携施設探しは全く進んでいない。連携先にとっては負担増でしかない」と漏らす。横浜市は連携施設になる認可保育所などへ独自に助成しているが、卒園する児童全員分の受け入れ先を確保できた小規模保育は86施設のうち9施設(4月1日現在)にとどまる。
 3歳以降の入園先が見つからない場合は小規模保育に残ることもできるが、長女(2)を板橋区内の小規模保育に入れたパートの曽我裕子さん(43)は「小学校に上がるときのことを考えると、同い年の友だちが大勢いる認可保育所に入れてあげたい」と話す。
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