行政が出産・子育てサポート メール配信・妊婦への面接・アプリの充実…



産経ニュース
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 ■不安に寄り添うサービス実施へ
 妊娠から出産、子育てをする家庭の孤立化を防ごうと、各区の取り組みが活発化している。核家族化が進み、どこに相談すればいいのか分からないなどの悩みに対し、毎日メールを送るなど、行政側から、不安に寄り添うサービスをめざしている。(鈴木美帆)
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 港区は、平成28年3月から「出産・子育て応援メール」を開始する。区内に住む妊娠期から3歳未満の乳幼児の家庭が対象。妊娠中から産後100日までは毎日、1歳までは3日に1回と、定期的に妊娠中の生活や育児のアドバイスを配信する。
 同区政策創造研究所の26年調査報告によると、未就学児がいる世帯では、マンションなどの共同住宅に住む家庭や、父母と子という家族構成の核家族がともに約9割を占め、「経験不足の中、孤軍奮闘するお母さんが多い」(同区)という。多くの子育て支援サービスに対して、「能動的にチェックする余裕がない」「利用するにもエネルギーが要る。そこまで頑張れない」という声もある。
 つわりの様子や育児の方法などを家族も知っておくことで、父親が育児を身近に感じる効果も期待される。こまめな情報を提供し、「小さな育児書」(同区)を目指すという。
 中野区では、妊娠期から切れ目なく支援を継続させるため、トータルケア事業を10月から進めていく。妊娠中期、後期の妊婦への電話相談「もしもしプレママコール」から始まり、保健師や助産師などの医療職による全妊婦への面接相談の実施、産後のケアやサポートを実施していく。
 これまでは、単身や低年齢、経済的困窮などのハイリスク層への支援が中心だったが、範囲を拡大。妊娠期の支援プランの作成、母親自身のケアを中心としたグループワークなどの産前産後サポート事業などを一括で行うことで、サービスの周知と個別の支援を強化する。妊娠という入り口を重視し、「地域での孤独感を解消していきたい」(同区)という。
 新宿区では、8月から従来の子育て情報発信アプリに個人に応じた情報をプッシュ通知で知らせてくれる機能を加えたアプリ「しんじゅく子育て応援ナビ」を公開した。プッシュ通知は、妊娠期から未就学児のいる家庭が対象。
 従来は、授乳やおむつ替えスペースなど子供を連れて外出する際に必要な施設をGPSを使って調べることのできる「子育てバリアフリーマップ」を提供。今後は、生年月日や郵便番号などを登録することで、支援サービスや健診、保育園の入所申請、読み聞かせイベントなどの情報が確実に届く。吉住健一同区長は、「わずらわしさを感じずに公的情報に接することができる仕掛けの1つにしたい」と利用を呼び掛けている。
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