子どものいじめ 調査やり直しで3万件増

子どものいじめ 調査やり直しで3万件増
NHK
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 岩手県矢巾町で中学生がいじめを苦に自殺したとみられる問題を受けて、文部科学省が実態調査をやり直すよう全国の学校に求めたところ、昨年度、確認されたいじめは18万8000件余りに上り、調査をやり直す前に比べて3万件近く増えたことが分かりました。
 文部科学省は毎年、各地の教育委員会などを通じていじめの認知件数を調査していて、昨年度の状況はことし6月にすでに回答を得ていました。しかし、岩手県矢巾町で中学2年生の村松亮さんがいじめを苦に自殺したとみられる問題で、学校から教育委員会にいじめはゼロと報告されていたことから、文部科学省は認知されないままになっているいじめがほかにもあるとみて、調査をやり直すよう求める異例の通知を出していました。
 その結果が27日公表され、昨年度、確認されたいじめは、小学校で12万2721件、中学校で5万2969件、高校で1万1404件、特別支援学校で963件と、合わせて18万8057件に上りました。
 小学校では調査を始めた昭和60年度以降で最も多くなっています。また、すべての都道府県で調査をやり直す前より認知件数が増え、全国で3万件近く増えたことが分かりました。
文部科学省は、調査をやり直す前の件数は速報値のため単純には比較できないとして、詳しい内容を明らかにしていませんが、増加幅が大きかった都道府県の例を挙げています。それによりますと、福島県が882件とやり直す前の4.3倍に増えたほか、鳥取県が552件で3.9倍、福岡県が3782件で2.7倍、岩手県が1816件で2.1倍に増えたということです。
文部科学省児童生徒課の坪田知広課長は、「いじめに対する意識が高まった結果だと評価している。複数の目でいじめを把握し、学校全体で早期に対応するよう徹底してほしい」と話しています。

文科相「一層の対策強化を」

 馳文部科学大臣は会見で、「積極的にいじめが認知された結果だと肯定的に評価したい。一方、依然として都道府県によって認知件数に差がある。教育委員会や学校のアンテナを高くして、早期発見、早期対応を心がけてほしい。文部科学省としてもいじめに悩む子どもを救うため対策を一層強化したい」と述べました。

遺族「命守るため具体的な対応策を」

 いじめによる自殺で娘を亡くし、いじめを防ぐための活動を続けているNPO法人の理事、小森美登里さんは「いじめの認知件数は問題が大きく報じられるたびに増えるが、学校現場の対応は依然として変わっていないように感じる。今回の再調査で教員の意識改革につながることを期待しているが、何より重要なのは、いじめが起きたときに被害者にも加害者にも向き合い、子どもの命を守るための具体的な対応策を構築することだ」と話しています。
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