ノロウイルス 新型にも警戒 県内福祉施設・保育施設

ノロウイルスの遺伝子を調べる県環境保全研究所職員=長野市

信濃毎日新聞
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ノロウイルスによる集団感染が増える冬を前に、県内の老人福祉施設や保育施設などが警戒を強めている。県環境保全研究所(長野市)などによると、長野県や関東地方で昨年以降、新型のノロウイルスを確認。毒性は従来と変わらないとみられるが、多くの人に新型への抵抗力がないため、流行の恐れがあるという。長野県や市町村は手洗いや消毒の徹底、調理時の衛生管理などで感染を防ぐよう呼び掛けている。

 同研究所によると、昨年8月に上田市菅平高原の2施設で発生した集団食中毒で、「G2・17型」と呼ぶノロウイルスの変異型を県内で初めて検出した。川崎市健康安全研究所が昨年見つけた新型で、関東地方などで検出事例が相次いでいるという。

 県環境保全研究所によると、県内では今年3月末までに、G2・17型の変異型を菅平の2件を含め6件確認。中沢春幸・感染症部長は「新しい型のノロウイルスは感染が広がりやすい可能性がある」と指摘する。

 一方、感染拡大を防ぐ手だてとして、松本市は今月、市内の保育園や幼稚園で発生した感染症の情報を共有するパソコンシステムを導入。ノロウイルスが原因の一つとされる感染性胃腸炎やインフルエンザは、免疫力のない幼児から流行しやすく、「今季は新型ノロウイルスも合わせて流行が予想される」と市保育課。システムを活用して素早く対応するとしている。

 飯田市の特別養護老人ホーム「かざこしの里」は冬場を前にウイルスを含む吐しゃ物、便の処理方法、施設内の手すりなども消毒を徹底することなどを確認した。担当者は「インフルエンザと同様、万一発症者が出てからも細心の注意を払う」と話している。

 県健康福祉部によると、定点観測している医療機関から報告されたノロウイルスを含む感染性胃腸炎の患者数は、今年の第42週(10月12~18日)が134人で、昨年の第42週(10月13~19日)の157人を下回っている。

 ノロウイルスが原因の一つとなる感染性胃腸炎患者の届出数が増え、県がノロウイルス食中毒注意報を発表するのは例年12月上旬~中旬だが、全国で大流行した2006、12年はともに11月中旬だった。県環境保全研究所の中沢・感染症部長は「新型も従来の型も予防の対策は変わらない。より一層注意してほしい」と話している。

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