企業内保育所:支援へ…認可外施設に補助、政府検討

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毎日新聞
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 政府は企業や病院などが従業員用に設ける事業所内保育所に運営費を補助する検討に入った。現在、事業所内保育所の多くは認可外施設で、国から運営費が出る認可施設に比べて保育料が高い。補助によって保育料が下がれば、正社員だけでなくパートなど非正規の従業員も事業所内保育所を利用しやすくなり、待機児童の解消が進むと政府はみている。ほかの認可外施設との公平性を保つため、企業が負担する拠出金を増額して財源にする方針。年末までに経済界と協議し、「1億総活躍社会」実現の主要政策として制度化を目指す。

 事業所内保育所は全国で4000カ所を超える。今年4月からは、従業員だけでなく地域の子どもを一定数受け入れることなどを要件に、認可施設への移行が可能になった。しかし、オフィス街では近くに子育て家庭が少なかったり、従業員だけで枠が埋まってしまったりして、実際には要件を満たすのは難しく、事業所内保育所のうち認可施設は150(4月1日現在)にとどまっている。
 こうした事情を踏まえ、政府は認可外施設のままでも運営費を補助し、子どもを預けやすくするのが得策と判断した。保育の質を確保するため、補助には保育士の数など一定の条件を付ける。あわせて、複数の企業で一つの保育所を運営することを認め、新設を後押しする仕組みも検討する。
 認可施設で子どもを受け入れるかどうかは各自治体が決める。入所希望の多い都市は、親が勤務時間の短いパートなどの場合、「受け入れる必要性が低い」と判断され、子どもを預けにくいのが実情だ。政府は、認可外の事業所内保育所への受け入れ支援によって、女性が出産後に仕事を続けられる効果も見込んでいる。
 近年の景気回復を受け、政府は、労使で折半する雇用保険料を2016年度から引き下げようとしている。企業の負担が減る見返りに事業主拠出金を引き上げ、現行の児童手当などに加え、事業所内保育所への補助金の財源を捻出したい考えだ。ただ、事実上、企業が「自己負担」して子どもの受け入れを拡充する仕組みだけに、拠出金の増額幅などを巡って経済界との調整が焦点になる。政府は17年度までに50万人分の保育の受け皿の整備を計画している。【細川貴代】
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