保育施設などでの子どもの重大事故防止へ検討会 遺族の思い実る

シーソーで遊ぶこどもたちのイラスト(カラー)


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 保育施設で子どもたちが犠牲となる事故を防ぐための検討会が、21日に開かれた。こうした動きの陰には、幼い息子を亡くした遺族の思いがあった。
栗並えみさんは、「寛也の命が失われたということに対して、自治体と国の仕組みができたことが大きい」と話した。


 21日、内閣府で開かれた、保育施設などでの重大事故を防止するための検討会。
事故が起きたあとに、速やかに検証を求めることや、施設への抜き打ち監査などの体制が強化されることが決まる。


 検討会の委員の1人、栗並さんは5年前、当時1歳だった息子の寛也ちゃんを亡くした。
保育士が与えたおやつを、のどに詰まらせたためだった。
当初、保育所側は、「保育士が見守っていたが、おやつのカステラをのどに詰まらせ、苦しんで、どうしようもなかった」と説明していた。
栗並さんは、「寛也に何が起こったのか、全然わからないということで、10回以上、半年くらい保育所に聞き取り調査をした」と話した。


 保育士が書いた資料には、「もう一度、指を入れたが、何も出てこず、口の中を見ると何もない」とあった。


 息子が命を落とした原因が、はっきりわからないため、夫妻は、独自の聞き取り調査や、署名活動を行った。


 そして、事故から1年半以上がたった2012年、ようやく第3者委員会による検証が行われた。
その結果、様子を見守っていたとされていた保育士は、いなかったことがわかった。
これまで、重大事故が起きた場合、認可施設は、自治体への報告を義務づけられているものの、事故を検証する仕組みがなく、対応も、自治体によってバラバラだった。
保育所での子どもの死亡事故件数は、全国で毎年10件以上。


 2014年に、報告されたのは17件。
死亡原因で、最も多いのが、睡眠中で、およそ65%を占めている。
栗並さんは、「君が社会を動かしたんだよと。そこに携わってくれた、いろいろな人たちに感謝したい」と話した。


 こうした問題を解消するために開かれた、今回の検討会。


 保育士不足が、依然として続く中、国は、幼稚園や小学校の先生の資格があれば、条件つきで保育所などで働けるよう、規制緩和の方針を打ち出した。


 こうしたことから、事故の防止や重大事故の検証を行うなど、体制の強化が、さらに重要になってくる。
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