保育無料を拡大…3人目以降一律

ブランコに乗る子どもイラスト(ソフト)


毎日新聞
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低所得世帯の支援拡充

 政府は21日、子どもの貧困対策を決定した。ひとり親家庭や子どもの多い世帯への支援に重点を置き、子どもが3人以上いる低所得世帯への支援を拡充。2016年度から3人以上いる世帯は一律で3人目以降の保育料を無料にする。現在は、保育所の場合、1人目が小学校に入学したら3人目は半額になっている。経済的支援のほか、低所得世帯の子どもが大人になって貧困に陥る「貧困の連鎖」を断ち切るため、教育支援なども強化する。
 厚生労働、文部科学など関係閣僚らでつくる「子どもの貧困対策会議」(会長・安倍晋三首相)が同日、持ち回りで決めた。
 現行の保育料は、3人以上が保育所にいれば2人目は半額、3人目以降は無料となっている。しかし、1人目が小学校に入学すると、2人目は全額、3人目は半額負担になる。今回の支援策では、子どもが3人以上いる年収約360万円未満の世帯は兄弟の年齢にかかわらず2人目は半額、3人目以降を無料とする。幼稚園にも同様に適用する。住民税非課税のひとり親家庭は保育料を第1子、第2子ともに無料化する。
 保育所、幼稚園とも来年度から実施。文科省によると、幼稚園の支援のための予算は22億円増える。一方、保育所について厚労省は予算額を明らかにしていない。
 また、ひとり親家庭に支給される児童扶養手当についても、2人目以降の支給額を最大で倍増する。現在は子ども1人の場合は月額最大4万2000円で、2人目は5000円、3人目以降は各3000円を支給される。これを2人目は1万円、3人目以降は6000円に引き上げる。ただし、2人目以降にはなかった所得制限を設けるため倍増しない世帯もある。来年8月分から実施し、12月に8〜11月分が支給される。
 一方、「貧困の連鎖」防止策として学習支援を拡充。自治体などによる無料の学習塾の拡充を促すなどして高校進学の下支えを図るほか、高卒認定試験の合格支援の対象をひとり親家庭の親だけでなく子どもにも広げる。【細川貴代】

子どもの貧困◇

 年収が平均的世帯の半分を下回る家庭で暮らす17歳以下の子どもの存在や生活状況を指す。その割合が「子どもの貧困率」で、2012年には16.3%と過去最悪を更新した。中でも、ひとり親世帯は半分以上が貧困状態にあり、経済協力開発機構加盟国でも最悪の水準だ。1980年代後半から10年代にかけて母子世帯は1.5倍、父子世帯は1.3倍に増加。また、母子世帯の8割で母親が働いているが、その半数ほどはパートやアルバイトで平均年収は181万円。

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