「保育所待ち」、企業が社員支援

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日本生命は、妊娠中の社員を対象に、居住自治体の保育所情報などを持ち寄り、必要な準備を確認させる「プレママセミナー」を本年度から始めた=東京都内で

中日新聞
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四月から保育所への入所を希望する親に、選考結果が届く時期になった。復職を熱望しながら、保育所に入れず断念せざるを得ないケースも多い。そんな社員を減らそうと、子どもの保育園を探す活動(保活)の支援に、企業が乗り出している。

◆入れるまでシッター利用を補助

 「育児休業中のブランクが怖い。入園が難しい年度途中でも、早く復職したかった」
 サントリーウエルネス(東京都港区)で健康食品の品質保証に従事する城処(きどころ)絢子さん(38)。昨年二月に産前休暇に入り、翌月長男(十一カ月)を出産、その半年後の九月に復職した。復職に向け、都内の六つの認可保育所に入園申請し、認証保育所二カ所のキャンセルを待ったが、年度途中の入園は厳しく、いずれも選考に漏れた。
 そこで、同社を含むサントリーホールディングス(HD)が約四年前から行う「つなぎベビーシッターサービス」を利用。同HDがベビーシッター派遣会社「ポピンズ」(本社・同渋谷区)と法人契約し、最大で七カ月間、シッター利用を補助する制度だ。
 城処さんは、「自宅での保育に抵抗があったが、(シッターから)育児のプロの技を学べ、思った以上に良い。おかげで仕事にも意欲的に取り組める」と話す。
 制度は、育児休業からの復職や、転居を伴う異動で保育所に入園できない社員が対象で、これまで他に六人が利用している。
 同HDの弥富(いやとみ)洋子・ダイバーシティ推進室長は、「待機児童問題で社員が復職できないと、会社へのダメージが大きい。社員には、不本意ながら四月入園に合わせる育児休業延長をしないで、希望する時期に復職してもらいたい」と説明する。サービスの個人負担額は非公表だが、城処さんは「(保育所の保育料と比べ)少し割高だが、現実的に支払える額」と言う。

◆妊娠中から事前準備のセミナー

 一方、日本生命(同千代田区)は今年一月、妊娠中からの準備で無理のない復職を目指す「プレママセミナー」を開催、妊娠中の社員二十人が参加した。参加者は居住自治体の保育所事情や子育てサービスを事前に調べなければならない。
 セミナーでは四~五人の班に分かれ、保活や地域の子育て支援サービス、家族との協力体制について議論。
 参加した事務職の女性社員(36)は、長男(3つ)の出産後の復職では入園できず、自治体の一時保育を利用し、保育料金は月十二万円に及んだ。「長男の時は出遅れたので、何とか早めに準備したい」と話す。
 同セミナーは本年度スタート。同社輝き推進室の小林あさひ調査役は「両立支援制度がほぼ整い、子育てしながらいかに活躍できるかに支援の軸足が移りつつある。出産前から保育所や子育て支援の状況を調べ、家族の協力体制をイメージするなど、復職に向けた社員の初動が遅れないようにしたい」と話している。
(安食美智子)
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