東京都が子育てに配慮した住宅を支援へ 武蔵野市は?

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 東京都は、「東京都子育て支援住宅認定制度」を創設し、子育て環境に優れた住宅(戸建て、集合住宅、借家など)を支援する。子育てには「住宅」と優れたまちの子育て環境が重要と考えての実施だ。

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東京都は、武蔵野市の長期計画にあたる上位計画として「東京都長期ビジョン」を策定し、この中に、「安心して産み育てられ、子供たちが健やかに成長できるまちの実現」が掲げ、その具体策のひとつとして実施するもの。

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どのような住宅を支援するかのガイドラインも示されたが、この中にある「ガイドライン策定の背景及び考え方」には、合計特殊出生率が上昇傾向とはいえ、全国平均の1.43よりは大幅に下回る1.03(平成25年)であり、子どもの数(年少人口)が将来は減ると予測。 

 東京都の子供のいる一般世帯(約164万世帯)のうち、共働き世帯は約52万世帯(31.7%)を占め、東京都の全世帯の 91.7%が核家族であることを考慮すると、共働き世帯が就業中に子供を預ける場所が近くにあることは子育てのしやすさにつながる考え、また、東京都の子育て世帯の居住面積が全国平均と比較して狭いことから、より良い子育ての住宅環境へと誘導することを考えたことなどが、この認定制度へとつながっている。

 要は、少子化対策といえる。 

■具体的な内容

 ガイドラインには具体例として次のような項目が示されていた。住宅の面積だけではなく、子育て支援施設が近くにあるか。買い物や通勤に便利か。まちに活力があり、子どもに目を向けているかなどが示されている。 ○子育てひろばなど、乳幼児と親が一緒に過ごせる施設が近くにある。

○未就学児が遊べる規模の小さな公園が近くにある。
○児童館や図書館など、子供が室内で過ごせる施設が近くにある。
○小学生が体を動かせる広場や公園等が近くにある。
〇子供が自然に触れられるような大規模な公園や川、森林などが近くにある。 ○保育所・地域型保育施設が家から近い距離又は最寄りの駅までの間にある。
○幼稚園が家から近い距離にあるか送迎バス等があり、通園に便利である。
○小学校や学童施設が家から近い距離にあり、通学等に便利である。
○小児科や耳鼻科等、子供が受診できる診療所等が家から近い距離又は最寄りの駅までの間にある。
○最寄りの駅が徒歩で行ける範囲内にある。
○食料品や日用雑貨などを購入できるスーパーマーケット等が家から近い距離又は最寄りの駅までの間にある。
〇銀行・郵便局など金融機関が家から近い距離又は最寄りの駅までの間にある。
○小さな子供連れで気軽に入れる飲食店などがある。 ○自治会等による季節行事などが行われ、地域交流が活発である。
〇自治会等による清掃活動が行われ、良好なまちなみが維持されている。
○防犯活動や防災活動が活発に行われている地域コミュニティがある。
○NPOなどによる「遊び場づくり」や「安全マップづくり」などの活動が行われている。
○「子供 110 番の家」の取組がされている地域である。 
 
 住宅だけで、適合できるのではなく、まちとしての取り組みも重要な要素となっている。盛りだくさんで、全てをクリアすることは、難しそうだが、これらの多くは、武蔵野市の住宅で対応できることが多いのではないだろうか。

■補助金は?

 気になるのは、ガイドラインに適合したとして、住宅を建設する事業者がいくらの補助金が得られるかだろう。住宅を建設する事業者に現実的なメリットがなければ誘導はできないからだ。

 都の担当者に確認したところ、区市町村が補助する額の二分の一、上限を一住宅で200万円と設定している。区市町村の補助金制度は、まだできてないので、これから区市町村には説明し、設けてもらうようお願いしたいと話していた。

 つまり、都は補助金を設けているが、区市町村が同じ考えで補助金を設けないと実施できないとなる。当然だが、区市町村にも財政負担が生じるので、設ける、設けないは区市町村が判断しないとならない。

 金額的には高額とはいえない。その代わりとして、都のホームページなどで認定した住宅の周知は行なう予定だ。優れた住宅であると都が認定し、宣伝することでのブランドイメージを高める誘導策だ。

 武蔵野市としての「子育て支援住宅認定制度」を実施するかは、まだ分からない。具体的な制度や内容は、これからの都議会や武蔵野市議会での予算審議で明らかになるのだろう。

 しかし、東京都以上に合計出生率は低く、同じように年少人口が減ると見込まれているのが武蔵野市だ。少子化対策としての政策として実施してもいいと思う。都のこの制度は、子ども部門の部局ではなく、都市整備部からの提案というのは参考になる。武蔵野市でも考えたほうがいい。

【参考】
東京都都市整備局宅政策推進部民間住宅課
 子育てに配慮した住宅のガイドライン

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