江戸期町家で学童保育

「今井放課後児童クラブ」として生まれ変わった江戸時代の町家(橿原市今井町で)
「今井放課後児童クラブ」として生まれ変わった江戸時代の町家(橿原市今井町で)


読売新聞
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 橿原市は、古い街並みが残る同市今井町の江戸時代末期の町家を、授業終了後の子どもたちを預かる学童保育「今井放課後児童クラブ」の施設に改修した。「伝統的な建物で過ごしてもらい、心豊かに育ってほしい」と市は期待。3月6日に開所式を行う。(柳林修)
 19世紀中頃の建築。白漆喰しっくいの壁に「虫籠むしこ窓」のある外観や、通り土間をそのまま生かした。市によると、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている町家を、学童保育に活用するのは全国初という。
梁を見せて開放感のある内部
梁を見せて開放感のある内部
 元は2戸が棟続きの長屋だったが、内部の間仕切り壁を撤去して1戸の広間とし、段差をなくした。天井は取り払い、はりをあらわにした開放感のある吹き抜けに。別に和室も設けた。南に面した裏側の畑は、整地して園庭にした。
 同クラブは2000年、市立今井保育所の一室で始まった。保護者が昼間、家に不在の市立今井小学校の児童に遊びや学びの場を提供している。現在は定員より3人多い34人が登録。手狭となり、保護者が広い場所への移転を求めていた。
 市は、昨年春に寄贈され、保育所から北約100メートルにある、この町家に着目。長年、空き家となって荒れていたが、景観保存や子育て支援につながるとして、3350万円かけて昨年5月から改修してきた。床面積は123平方メートルと従来の2・4倍に広がった。
裏の畑は広い園庭に
裏の畑は広い園庭に
 新年度は43人が利用する予定。市子育て支援課は「子どもたちが、ゆったりと昔に思いをはせながら、伸び伸びと育ってほしい」、市教委今井町並保存整備事務所は「町家の良さを知ってもらうことで、今井町の町並みの維持と継承につなげたい」としている。
2016年02月24日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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