お得ポイントで子育てママ支援 大阪市旭区の「キッズカード」人気

ベビーカーに乗る赤ちゃんとままのイラスト(カラー)


産経ニュース
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子育て中の母親を地域ぐるみで支援しようと、大阪市旭区が小児科医らとともに作製した「あさひキッズカード」が人気だ。提示すれば地元商店での割引サービスなどが受けられるほか、子育てサロンに参加するとポイントが加算され、プレゼントももらえる。子育ての悩みから虐待に走るケースもあり、“お得感”を売りに母親の孤立を防ぐのが狙いだ。児童虐待の疑いで警察が児童相談所に通告する件数は大阪が全国最多で、母親を地域全体で見守る仕組みに注目が集まっている。
 旭区が区在住の母親を対象に発行している「あさひキッズカード」。財布にすっぽり入るサイズで、子供の健診日時やかかりつけ医療機関、所属保育園・幼稚園などの記入項目がある。カードを提示すれば、区内の約40店舗で「3%引き」「トイレ貸します」「ミルク用のお湯提供」などのサービスが受けられる。また、集会所などで開かれる子育てサロンに行くとポイントがつき、12個集めるとトートバッグがもらえる。
 カードを発案したのは、同区にある子供専門病院で院長を務める小児科医、木野稔さん(64)と市社会福祉協議会の元職員、柴野奈津子さん(71)。これまで子育てや福祉に従事してきた柴野さんらが、子育て中の母親を助ける取り組みができないか区に相談をもちかけ、平成26年4月からカードの配布を始めた。
 カードはコンパクトで持ち運びしやすいと好評で、これまでに約6千枚を発行。母子手帳の交付で区役所を訪れた母親に配布しているほか、区内の保育園と幼稚園でも配っている。
 区内で生後8カ月の男児の子育てに励む逢坂和子(おおさか・わこ)さん(37)は「買い物時の割引特典がついていてお得だし、ポイントを集めるために子育てサロンに行こうという気にもなる。地域に溶け込むきっかけになっている」とほほ笑む。
 同区の保育園や幼稚園などに子供を通わせる区外の母親から「自分の区でもこんなカードがほしい」との要望が寄せられているといい、区の担当者は「こうした仕組みが区外でも広がれば」と期待を寄せる。
 府警少年課によると、昨年1年間に虐待が疑われるとして、児童相談所に通告した18歳未満の子供は全国最多の6385人。近畿大学の久(ひさ)隆浩教授(まちづくり)は「特に第1子の子育ての場合、経験が少ないために今起きている状況が普通かどうか分からず、不安に陥った母親による虐待が生まれる可能性もある」と指摘。旭区の取り組みについて、「店側は子育て層を取り込むきっかけになっており、母親はカードを通じて地域に溶け込む機会が持てている。お互いメリットがあり、母親の孤立を防ぐのにも一定の効果があるのではないか」と評価する。
 問い合わせは旭区役所(電)06・6957・9176。
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