「説明不足」住民反発も 保育所の都内住宅地への新設

園児と先生(カラー)



東京新聞
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待機児童をなくすために認可保育所の開設が急ピッチで進む中、東京二十三区では住宅地に建設するケースも多く、周辺住民との合意形成が行政にとって大きな課題になっている。東京都中野区では区が十分に仲介しないまま、事業者が当初、住民説明会を開かずに保育所建設を進め、住民が事業者と区に不信感を募らせた。一方、世田谷区や台東区など開設が遅れても住民との合意形成に時間をかける区もある。(石原真樹)
 住民が不信感を募らせた保育所は、中野区の西武新宿線都立家政駅近くに建設し、四月から民間事業者「こどもの森」(国立市)が運営する。昨年九月に住民説明会もなく建設工事が始まり、住民が反発。昨年十一月の住民説明会では、完成時の図面で駐輪場が三~四台分しかないことや、避難経路が極めて狭いことなどが分かり、住民が工事の一時中止を求めたが、事業者と区は四月開設を譲らなかった。
 その後の情報公開などで、都に提出された図面には、隣の家との境界を越えて避難経路が描き込まれていたことが判明。住民が区の建築審査会に申し立てるなどした結果、事業者は避難経路を変更し、駐輪スペースを増やすなど改善した。
 中野区の担当者は「保育所は民設民営で、『住民説明会をしない』と事業者に言われたら区は踏み込めない」と距離を置く姿勢を崩さず、事業者は取材に応じていない。これに対し、住民の一人は「自分も保育所探しに苦労し、母親の気持ちは分かる。建設反対ではなく、住民無視のやり方にみんな怒っている」と言う。住民の運動はインターネット上で「住民エゴ」とも批判された。「運動で保育所はよくなったのに…。保育所は、通う子どもにも地域の住民にも安全であってほしい」と願う。
 一方、世田谷区と台東区では、住民合意に時間がかかり、今年四月の開設予定に間に合わなかった保育所があった。世田谷区の担当者は「住民の合意を得て運営することが、子どものためにもなる」とし、事業者の募集要項に住民への配慮を細かく列挙していると説明した。台東区の担当者も「対策を説明し、住民に理解してもらう必要がある」と話した。
 二〇一二年四月に世田谷区に開設された東北沢ききょう保育園の山田静子園長(79)は「区が町会へのあいさつ回りを先導するなど支援してくれたおかげで、住民との関係づくりも円滑に進んだ」と、行政の仲介の大切さを強調した。中野区の保育所問題にかかわった中山代志子弁護士は「保育は区の施策であり、行政が責任をもって保護者と事業者、地域住民を取りまとめるべきだ」と指摘した。
(東京新聞)
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