通園保育モデル事業 21園に拡大 利用者に好評 枠拡大へ課題

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キッズルームで遊ぶ1歳児。モデル事業の園児も受け入れている=昨年12月、輪島市河井町の和光幼稚園・あいこう園で

中日新聞
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保育士数、施設広さに限度も

 県が二〇一五年度に始めた在宅育児家庭の通園保育モデル事業は初年度、十一市町の認定こども園二十一園に広がった。保育所に預けられない三歳未満の子どもを定期的に通園させられる全国初の取り組みで、利用者には好評だ。一方、利用者数は少なく、受け入れ枠の拡大には課題も残っている。(福岡範行)
 モデル事業は、自宅で子育てする親の孤立化防止を目指して始めた。幼稚園の対象前の三歳未満児は、親が自宅で保育できるとみなされると保育所にも通えず、公的支援が届きづらい。
 事業では週に数日、四時間ずつ程度、子どもを預かることで園と保護者とのつながりを強化。子育ての不安の解消を図る。子どもの受け入れに必要な保育士の人件費は県が助成する。
 受け入れは昨年十月から始まり、実施する園数は徐々に増加。利用者アンケートで回収できた三十三人分の内容は「集団生活を経験して子どもがしっかりしてきたように思う」「自分の時間を持て、心に余裕ができた」と好評だった。認定こども園は保育所と幼稚園の機能を併せ持つので、子どもにとっても三歳になったとき、親の就業状況にかかわらず同じ園に通い続けられるメリットがある。
 ただ、初年度の利用者数は百人未満。保育所に通っていない県内のゼロ~二歳児一万五千人の1%にも満たない。試験的な取り組みで園が受け入れ数を絞った影響もあるが、そもそもモデル事業に充てられるのは、保育所に入所する対象の子どもを預かった上で余った受け入れ枠に限られる。
 事業に参加する園は一六年度も増える見込みだが、保育士の数や施設の広さの制限があり、受け入れ枠の急増は期待できない。県子育て支援課の担当者は「徐々に数を増やす方向に持っていければ」と語る。本年度の早い時期に利用者アンケートなどをまとめて事業を検証し、改善を図る。
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