待機児童対策、4割増額 「小池流」予算を読む


日本経済新聞様
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 東京都の小池百合子知事は2017年度予算案で待機児童対策に過去最大の1381億円を計上した。保育士確保へ給与補助を増やし幼稚園教諭並みに引き上げる一方、保育所用地の税負担減免を拡大し新設を促し、「19年度末までの待機児童ゼロ」を目指す。その成否は、知事選で公約に掲げた政策に重点配分した「小池色」予算案全般に対する試金石ともなりそうだ。

小池知事は昨年8月の就任時から待機児童対策を「喫緊の課題」と位置付けており、来年度予算の関連事業費は16年度に比べ4割増えた。一連の対策で17年度には保育サービスの定員を1万8千人分増やす。
 具体策の一つが保育士不足解消への取り組み。保育士の給与引き上げに向け、1人当たり月額2万1千円、補助を上乗せする。既に独自に2万3千円を補助しており、17年度から上乗せする補助額は計4万4千円となる。これにより他の職種と比べ低いとされる保育士の給与は幼稚園教諭と同水準となる見通しだ。
 育児休業を終えた保育士の子どもが待機児童となった場合に月額28万円のベビーシッター代を負担する。国は保育士の子どもの優先入所を自治体に呼びかけるが、「他にも人手不足の職種はある」との声も根強く導入例は町田市など一部に限られる。このため長年手を付けなかったベビーシッター補助に踏み切った。
 保育所新設を税制面からも後押しする。23区内で20年度末までに新たな賃貸借契約を結んだ土地で認可・認証保育所が新設された場合、その土地に対する固定資産税と都市計画税を5年間、全額免除する。

これまでも事業者が所有地に保育所を建てたり、土地を無料で貸したりした場合、こうした税負担は全額免除となっている。都によると有料で貸す土地にまで広げるのは全国で初めてという。
 企業主導型保育所への支援も拡充する。国からの補助の対象にならない開設時の備品購入に必要な経費についても独自に補助することにした。
 小池知事は就任後、舛添要一前知事時代に決めた4年間で4万人分という保育定員を増やす目標の引き上げを指示。19年度末までの待機児童ゼロに向けて4年間に7万人分の保育定員を増やす計画を示した。
 都幹部は「あらゆる対策を総動員しないと達成できない水準」と解説する。保育所を整備する主体となる都内自治体からも「保育所を建てられる土地がない」と悲鳴が上がる。23区のある保育担当者は都の計画に「正直、ついていくのは厳しい」と打ち明ける。
 「こうした取り組みで19年度末までに待機児童の解消を目指してまいりたい。19年度末でございます」。小池知事は25日の記者会見でこう繰り返したが、17年度予算が目標達成への足固めとなるかが問われる。
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