男性保育士に理解を 女児のおむつ替え議論に 明確なルールなく 専門性の周知必要 /北海道


毎日新聞様
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 男性保育士が女児のおむつ替えや着替えをすることが議論になっている。千葉市が4月から実施する「市立保育所男性保育士活躍推進プラン」を巡り、熊谷俊人市長が「娘の着替えを男性保育士にさせないでという親の声があった」とツイッターで発信したことがきっかけ。明確なルールや指針はなく、専門家からは「保育士の専門性が理解されていない」との声も上がっている。【今井美津子】
     石狩市のある認定こども園では15年ほど前から、おむつ替えの必要がある0~1歳児クラスの担当から男性保育士をはずした。保護者からのクレームがあったわけではないが、「当時男性保育士が女児の裸の写真を撮ったという報道があり、誤解を防ぐために配慮した。2歳以上になれば嫌なら嫌と意思表示できるようになる」(担当者)。現在2人いる男性保育士は3歳児と5歳児を担当し、女児の排せつの介助や着替えの世話もしている。
     一方、恵庭市などで保育園や認定こども園などを運営するリズム学園では、保育士約80人のうち男性は10人で、男性を積極的に採用する。井内聖学園長は「最近の幼児教育は野外遊びが重視されており、男性の方が得意だ。男女が半数ずつの社会と同じ環境で学ぶことも大切だ」と説明し、現場では男性が0歳の女児のおむつを替えることもあるという。ただ、父親ではない男性が女児のおむつを替えることに保護者が抵抗感を抱く気持ちも理解できるといい、「保育士への指導、研修を行い、業界として社会に理解を深めてもらう努力をすることが重要」と指摘する。
     現場の男性保育士には困惑が広がる。リズム学園が運営する恵庭市こすもす保育園の村松良太園長(32)は「専門職と見られておらず悲しい。園児が排せつした時に女性保育士を呼ぶほど余裕がある現場ではない」。札幌市内の認可保育園の40代の男性保育士は「男性保育士はまだ少数派。事件が起きると目立つので保護者に不安を与えてしまうのではないか」と話す。
     厚生労働省によると、昨年4月1日現在の男性保育士登録者数は6万3837人で、全体(138万5677人)の4・6%に過ぎない。道内でも全登録者5万7949人のうち、男性は5・9%の3447人にとどまっている。
     ネット上の議論について生活情報サイト「オールアバウト」子育てガイドでジャーナリストの猪熊弘子さんは「保育士の専門性が理解されていないために今回のような議論となったのではないか」と話している。

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