保育の受け皿 ベビーホテルなど40施設で問題放置 都、処分には慎重


中日新聞様
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 ベビーホテルや従業員向けの事業所内保育所など自治体の認可・認定を受けない保育施設で、東京都が立ち入り調査で問題点を指摘した百六施設のうち、四十施設は未改善のまま十カ月以上、運営を続けていたことが、本紙の自治体へのアンケートで分かった。改善されなくても事業停止や閉鎖の処分を受けるのはまれで、中には子どもの死亡事故が起きた施設もある。 (奥野斐)
 こうした施設は、国の基準で運営される認可保育所、自治体独自の基準で認定される認証保育所や保育室などと違い、部屋の広さや保育士の数などの基準が緩い。行政の補助金を受けられない場合が多く、一般的に財政基盤が弱い。認可・認定施設と比べ、子どもの死亡事故の発生率も高い傾向にある。
 本紙は首都圏の一都六県と五政令市にアンケートし、二〇一五年度の立ち入り状況と、指摘した問題点が今年一月末時点で未改善の施設を調べた。都、神奈川県、横浜、川崎、相模原、さいたま、千葉各市が回答し、他の自治体は「把握していない」などとした。
 都で未改善のままだった四十施設は「保育者の三分の一以上は保育士などの有資格者」「複数の保育者で子どもを見る」など安全に直結する項目や、火災時などの避難設備に関する項目が直されていなかった。
問題を指摘して一カ月以上改善されない場合、自治体は事業停止や閉鎖命令の前段階の「改善勧告」を出せるが、一二年四月~今年一月末で都が実際に措置したのは、四件にとどまる。
 都の担当者は「事業者が『直す』と言えば、改善の見通しなしと判断するのは難しい」と話す。こうした施設は、認可保育所などに入れない待機児童や夜間保育が必要な乳幼児の受け皿になっている面もあり、「閉鎖すれば利用者の転園先の確保が必要で、勧告には慎重になる」という。
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