医療ケア児保育 地域差 入所全国で337人、7県ゼロ


東京新聞様
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 日常的に医療的なケアが必要な子ども(医療的ケア児)について、保育所の入所状況を四十七都道府県に尋ねたところ、二〇一六年度は、受け入れ人数が計三百三十七人で、七県はゼロだったことが、共同通信の調査で分かった。こうした子どものケアには看護師らの配置が必要で、一六年には自治体に支援の努力義務が課されている。積極的に取り組む自治体もあるが、全体として対応の遅れが目立ち、地域差も浮き彫りになった。
 医療的ケア児はたんの吸引や鼻からチューブで栄養を送り込む「経管栄養」などが必要な子どもで、一五年度時点で十九歳以下は全国に約一万七千人、四歳以下は約六千人いるとされる。保育ニーズは高いとみられるが、預け先がなく、つきっきりで世話をする母親も少なくない。同世代の子どもと接する機会が失われるなどの課題もあり、支援体制の整備が急がれている。
 調査は七月、保育所と認定こども園での一六年度受け入れ状況について、都道府県を対象に実施。自治体が把握していなかった一部の政令市、中核市については、個別に聞き取り調査した。
 医療的ケア児が一般の子どもと同様に入所できた施設は全国に三百四カ所あり、受け入れ人数は一五年度の厚生労働省調査(三百三人)から一割程度増えた。
 受け入れがゼロだったのは山梨、奈良、岡山、徳島、香川、愛媛、大分で、理由は「該当者がいない」などだった。奈良、岡山、徳島は一七年度は受け入れていると回答した。最多は大阪府の五十九人で、全体の二割近くを占めた。東京、愛知は二十四人、兵庫、滋賀が十八人だった。ニーズに応じて保育所に看護師を配置する例があったが、親がケアを担うケースもあった。同じ人口規模でも受け入れ状況には違いがあり、自治体間の温度差が目立った。
 近年、医療の進歩で救命される子どもが増えるのに伴い、医療的ケア児も急増、一五年度は十年前の二倍近くになった。
 厚労省は一七年度に全国の二十三市町村でモデル事業を実施。看護師の派遣や、保育士がケアを学ぶ研修にかかる費用の補助などに取り組んでいる。

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