神奈川の待機児童、2倍超の4411人 16市町で増加 保育士不足解消されず

待機児童のイラスト
産経ニュース様
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 県内の待機児童が増加している。厚生労働省が、実態に即した待機児童数を示すよう育児休業中で復職の意思を確認できる人の乳幼児を含めることにした新基準を初めて適用(平塚市、鎌倉市、葉山町を除く)した結果、昨年10月1日時点の県内待機児童は4411人で前年同月比で2倍を超えた。県は平成31年度までの待機児童ゼロを目指しているが、実現に向けてはハードルが高まりつつある。

 ■ゼロは9市町村

 横浜市、川崎市、相模原市の3政令市と中核市の横須賀市を合わせた待機児童は、2563人で前年同月比で1977人増えた。その他の市町村全体でも1848人で同428人増えるなど、都市部以外でも増加傾向がみられる。

 政令市と中核市以外で待機児童が多いのは、藤沢市(前年同月比266人増の365人)▽大和市(同116人増の255人)▽平塚市(同1人減の163人)▽厚木市(同10人減の145人)▽座間市(同20人増の123人)▽茅ケ崎市(同44人減の116人)-などと続く。増加したのは16市町で、減少したのは11市町だった。

 減少した自治体のうち平塚市と鎌倉市(同39人減の69人)は一部が旧基準での算定だったため、両市については増加している可能性もある。待機児童がゼロだったのは、三浦市や中井町、松田町など9市町村だった。

 ■施設整備追いつかず

 県内保育所の受け入れ枠は同7125人増の14万6533人だが、利用児童数は同7379人増の14万8145人となっており、施設整備が待機児童の増加に追いついていないのが現状だ。

 一方、保育士不足も深刻となっている。東京都や横浜市では、保育士に対する家賃補助金制度が導入されるなど待遇が充実していることから、保育士が集中。保育園を運営する社会福祉法人関係者は「自治体の取り組みによって、保育士の待遇にばらつきが出ている。このままでは、保育士が充足する地域とそうでない地域に分かれてしまうのでは」と懸念を示す。

 県では保育士資格取得後3年間は、県内でのみ勤務することができる地域限定保育士制度を導入し、保育士確保を図るが、保育士不足は依然として解消していない。

 県の「かながわ子どもみらいプラン」では、31年度までに待機児童ゼロを達成し、保育士研修の受講者数(延べ)を4万5千人(25年度9001人)にまで引き上げる計画で、「今年3月までに見直しを行う」(県次世代育成課)としている。

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 ■県内の保育士事情 待機児童解消に向けて保育士の確保が必要だが、保育士の有効求人倍率は高い水準で推移しており、平成29年7月の有効求人倍率は県においては2.17倍となっている。県は「かながわ保育士・保育所支援センター」(http://www.kanagawahoiku.jp/)を開設し、就職相談会や行政関係の情報提供を行っている。

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