堺市在住の桜井秀子さんは「新米保育士」…


西日本新聞様
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 堺市在住の桜井秀子さんは「新米保育士」。お年は64歳。子どもの頃、将来の夢を聞かれると「保母さん」と答えていた。還暦を過ぎてその夢をかなえた

▼20代で結婚し、2人の子どもを育てた。ボランティアで絵本の読み聞かせもしていた。20年ほど前から少子化のニュースが気になりだした。待機児童の問題は保育士不足にも一因が、と思った時、幼い日の夢が胸によみがえった

▼一念発起、国家試験に挑戦。見事合格し、保育士の資格を取った。が、別の問題も。働く場所を探しても、年齢で敬遠されることが多かったのだ。「保育士は体力が必要なのは分かっている」と桜井さん

▼それでも大切なのは「子どもたちにお母さんのように接すること」。子どもに愛情が持てる人なら誰でもできる。時間に余裕のある高齢者を採用し、補助的に働けば良いのでは、とも考えた

▼第14回「60歳からの主張」で入賞した桜井さんのエッセーから紹介している。現在、保育園で働いている桜井さんを「おばあちゃん先生」と呼んで懐く子がいるそうだ。若いお母さんや保育士の相談役にも。3世代同居のような雰囲気の保育園もいい

▼日清食品の創業者安藤百福(ももふく)さんがインスタントラーメンを発明したのは48歳の時。事業に失敗し、裸一貫からの挑戦だった。安藤さんの言葉を思い出す。「人生に遅すぎるということはない。50歳でも60歳からでも新しい出発はある」

=2018/02/13付 西日本新聞朝刊=

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