千葉敬愛短大に「認定絵本士」養成講座開設 読み聞かせの技術磨く

読み聞かせをしている女性のイラスト
産経ニュース様
------------------------------------------------------------------------------------------------

 千葉敬愛短大(佐倉市)は、「認定絵本士」を養成する講座を全国の教育機関に先駆けて開設することになった。平成30年度入学生(保育コース)から受講できる。保育の質を高めるスキルの一つとされ、学生のニーズも高まっており、保育士を目指す高校生らに注目を集めそうだ。将来的には、一定の実務経験を経れば「絵本専門士」と認定される仕組み作りも検討されているという。

 絵本専門士は、独立行政法人国立青少年教育振興機構が認定する民間資格。絵本に関する知識、技能、感性について一定水準に達した人たちに与えられる。26年度に同機構が養成講座を開設し、これまで4期計約160人が誕生、保育現場で活躍している。

 同短大現代子ども学科の吉村真理子教授によると、絵本の読み聞かせは、読み手の知識と技術、経験によって、子供たちの反応の違いが如実に表れるという。技術のある大人が読み聞かせると子供はストーリーに夢中となる一方、スキルのない人では、子供は数分で飽きて遊び回ってしまうのだそうだ。成長後の読書への向き合い方にも差が生じる可能性があり、保育士として保護者に安心感を与える資格と認められつつあるという。

 吉村教授によると、そうした保育現場の実情から、絵本を読み聞かせる技術や知識などが見直されており、絵本専門士の資格が注目されている。同機構が開催する養成講座には、近年は60人の定員に約700人が応募する狭き門となっていた。

 一方、同機構は、絵本専門士の裾野をさらに広げようと短大などと連携。学校の専用カリキュラムを修了することで「認定絵本士」の資格を与える制度を31年度からスタートさせる。

 今回、認定絵本士を養成するカリキュラムの全国展開に先だって、保育分野に多くの人材を輩出してきた同短大と大阪樟蔭女子大(大阪府)の全国で2校のみ、30年度から試行する。

 同短大の養成講座では、絵本に関する科目のほか、地元の佐倉市立図書館の図書館司書らによるゲスト講座で編成。同機構の専門機関が定めるカリキュラム(30コマ、50・5時間)を履修し、知識を深め、読み聞かせの技術と感性を磨く。

 同短大の明石要一学長は「絵本を読んでもらうことは『耳からの言語活動』といえる。人間の心を理解する力につながり、保育の質を高める大きな柱となる」と、同講座の意義を強調する。

 幼児保育現場に詳しい吉村教授は「読書離れが進む中、絵本の読み聞かせは子供たちのイマジネーション力を培う」と、認定絵本士のスキルは保育現場に必要な要素だと強調している。

------------------------------------------------------------------------------------------------