県外から「保育士」の求人急増 背景に首都圏の深刻な不足


信毎WEB様
------------------------------------------------------------------------------------------------

 保育士の養成課程がある県内の短大や専門学校などで、首都圏からの求人が急増している。保育士不足が深刻な首都圏の自治体や保育園が、保育士の待遇改善を前面に掲げて地方からの人材獲得に乗りだしている影響とみられている。今のところ、県内学生の地元志向は強いというが、首都圏に出る学生がじわりと増えてきたとする学校もある。

 「県外からの求人は、うなぎ上りです」。清泉女学院大・短大(長野市)の宮下淳・キャリア支援センター長は話す。保育士資格を取得できる短大幼児教育科の学生への県外からの求人は、2010年度の48件から、17年度は182件に増加。107件だった県内からの求人件数を上回った。家賃補助制度や賃金上乗せといった待遇を直接説明に来る自治体や事業者も増えた。

 今のところ県外就職は1割未満といい、「慣れ親しんだ環境の中で働きたいという県内志向は強い」と宮下さん。県内の保育園の方が実習などで情報を得やすいことも理由とみている。

 松本短大(松本市)でも、幼児保育学科を卒業予定の学生約100人に県外保育園の求人が寄せられた。県外への就職は例年10人前後で、今春も今月1日時点で内定報告があった76人のうち9人だった。

 一方、県外からの求人増の影響が出始めた所もある。信州豊南短大(上伊那郡辰野町)では、幼児教育学科の17年度卒業予定者のうち、県外就職は例年より増える見通し。県内の別の学校でも、5年ほど前まではまれだった県外就職者が、ここ数年は1〜2人出ているという。

 保育士養成の県内関係者からは、「家賃補助制度によって県外に出るハードルが低くなっている」「県外へ就職する先輩が増えると、今後学生の県外志望者が増えるかもしれない」といった声が出ている。

------------------------------------------------------------------------------------------------