保育所移転・民営化、急ぐ市に不信感 京都、保護者ら「唐突」

ピアノに合わせて踊る子供たちのイラスト
京都新聞様
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 京都市営保育所の民間移管を巡り、民営化対象になった保育所の保護者が反対や懸念の声を上げている。市立芸術大移転計画と市の財政難から急きょ民営化方針が決まった下京区の崇仁保育所では、保護者が園の建物や場所が変わることに戸惑い、手続きを急ぐ市の姿勢に不信感を募らせている。

 20日、下京区で開かれた市営保育所移管先選定部会。部会の有識者委員と保護者の意見交換を予定したが、保護者6人は「保護者会として意見を用意できる段階にない」と公式見解の表明を拒否した。代わりに、保育園の移転と民営化を同時に行うのは、園児への影響が大きい点や、市営保育所が障害児の受け皿になっている役割などを述べ、「一方的にスケジュールを押しつける不誠実な対応だ」と市への不信感をあらわに、民営化や移管の協議を先送りするよう求めた。

 市は、民営園に引き継ぐまでの市営と民間の保育士による共同保育で「従来の移管より丁寧に対応する」と強調。一方、近く移管先の公募に入り、2020年4月にも移転・民営化させる方針を変えていない。

 崇仁保育所は、市が14年10月に改定した市営保育所の基本方針で、民営化方針を決めた6園に含まれていなかった。だが、市は、17年1月に公表した西京区の市立芸大を下京区のJR京都駅近くに移転する計画に絡み、移転先にある崇仁保育所を北に約700メートル移した上で民営化する方針を打ち出した。

 保護者会の中心メンバーの一人は「1年前に突然知らされ、唐突感は拭えない。崇仁保育所のケースでは保育士に加え、園の建物や場所も変わるため、不安がより大きい。移転までは容認するが、民営化はやめて、と願う親が多い」と明かす。

 これに対し、移転だけではなく、民営化が必要な理由について、市は財政負担の大きさを挙げる。園舎新設への国の補助金は、市営の場合よりも民間園が多く配分されるため、民営・崇仁保育所になれば、建設費(約4億8千万円)の市負担分を約2億円減らせる。平均勤続年数が長い市営と民間園の保育士給与の差から、運営費も年間約1億円減らせるという。市幼保総合支援室は「民間園は市営に勝るとも劣らない質の高い保育サービスを提供している。財政は厳しく、市負担の軽減も考慮すべき問題だ」と強調する。

 崇仁保育所以外の市営保育所の民営化は、錦林(左京区)、砂川(伏見区)、山ノ本(南区)ですでに実施済みで、修学院(左京区)と淀(伏見区)も移管先が決まっている。

 一方、聚楽(中京区)は保護者が強く反発し、16年度の公募では応募がなかったため再公募を検討している。

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