大阪)大阪市が当初予算案を発表 総額1兆7771億円

ピアノに合わせて踊る子供たちのイラスト
朝日新聞様
------------------------------------------------------------------------------------------------


 大阪市は15日、2018年度一般会計当初予算案を発表した。総額1兆7771億円(前年度比145億円増)で2年連続の増加となる。吉村洋文市長は記者会見で、予算案を「子どもの環境充実予算」と名づけ、待機児童対策や子どもが急増している市中心部の学校の増築などに力を入れる考えを示した。

 市税は7164億円。国の制度変更による増加分を除けば、前年度より実質3・5%増。企業の収益増で法人税は12・4%増の1263億円に。固定資産税や都市計画税も1・4%増の3393億円を見込む。

 だが、市税などの収入を支出が上回り、収支は190億円の「赤字」に。市の貯金にあたる財政調整基金の取り崩しや市有地の売却で補う。財政調整基金の残高は1451億円になる見込み。

 市の借金にあたる市債残高は、特別会計を含む全会計で5341億円減の3兆6753億円に。地下鉄とバスの民営化で市債を繰り上げ償還し、大幅に減る。償還で生じる債務は民営化後の新会社が引き継ぐ。

 地下鉄・バスの民営化で交通事業の会計がなくなり、全会計の予算総額は3兆8985億円に。新年度に限る市債の繰り上げ償還にかかる4312億円を除けば、前年度比9・6%減となる。

待機児童解消へ 入所枠4054人文増
 吉村洋文市長が力を入れる「子どもの環境充実」関連では、待機児童の解消を目指して新年度予算案に85億4800万円を盛り込み、4054人分の入所枠を増やす。内訳は認可保育所の新設36カ所2550人分、0~2歳児を対象とする定員19人までの小規模保育所など「地域型保育事業所」の新設70カ所1298人分、認可保育所の建て替えなど7カ所206人分。

 保育所の急増で保育士不足が予想される中、人材を確保するための事業に11億2600万円をあてる。保育士の負担を軽くするため、一定の研修を受けたうえで保育を手伝う「保育補助者」を雇うための人件費を補助。子どもの登園・降園を記録するシステムの導入費用も一部補助する。

 16年度から5歳児向けに始め、17年度から4、5歳児に対象を広げた幼児教育無償化は、新年度も継続。57億1千万円を計上する。

中心部の小学校 6校で増築工事
 教育では、学力向上に引き続き力を入れる。全国学力調査の結果が振るわないことから、特に対策が必要と判断した小中学校計10校を「スーパーリーダーシップ特例校」に選定。「校長経営戦略支援予算」として柔軟な使い道を認める100万円を含む1校あたり360万円を配分。3年かけて学力アップを目指す。

 小中学校80校で国語と算数・数学の「学力向上推進モデル事業」も。経験豊富な教諭ら10人でつくる専任チームが助言する。この経費に2千万円を計上した。

 このほか、子どもの増加が見込まれる市中心部の教室不足対策に14億9900万円を盛り込んだ。新年度は北区、西区、中央区の小学校6校で増築工事、2校で設計を予定している。

万博ムード向上 IR誘致費用も
 2025年に大阪開催を目指す万博や、カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致費用も盛り込んだ。

 万博の開催国は今年11月、博覧会国際事務局(BIE)の総会で、加盟国の投票で決まる。新年度予算案には1億4700万円を計上。アフリカや中南米各国への働きかけや、国内の万博ムードを盛り上げるイベント開催などに使う。

 IR誘致に向けて4700万円を計上。ギャンブル依存症対策で、府内の高校3年生向けに啓発リーフレット約9万部を作成し、大学や高校で専門家の出前講座も開く。

 南海なんば駅(大阪市中央区)の北側、高島屋大阪店前に広さ2千平方メートルの歩行者向け広場をつくる設計費用4700万円も計上。20年度の完成を目指す。

------------------------------------------------------------------------------------------------