記者のひとりごと 保育所の持ち帰り残業 /東京

保育士の過労のイラスト(男性)
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今春、長男の認可保育所への入園が決まり、通っていた認可外保育所から転園させた。前の園と違うのは、迎えの際に渡される子どもの作品がさほど凝っていないことだ。

 保育所での活動の一つに「制作」がある。といっても、まだ1歳の長男は絵の具をつけた指で紙にスタンプを押したり、ミミズのような線を描いたりする程度。前の園では、そこに本人の顔写真を貼ったり、飾りを付けてオブジェにしたりと保育士さんたちの手で完成度の高い作品に仕上げてくれた。

 最近、保育士を支援する労働組合のスタッフから「自宅での持ち帰り残業で作品を仕上げる保育士が多い」と聞いた。前の園で休憩室のドアの隙間(すきま)から、せっせと作品づくりをする保育士さんたちを見かけたことがある。「勤務時間内に終わるのかな」と気になってはいたが、その先のことまで考えなかった。

 出来上がった作品は親と子の宝物になる。一方で「厳しい労働環境のもとで作られていないだろうか」と複雑な気持ちにもなる。どちらの園でも、長男はたくさんの経験をさせてもらい、とても楽しそうだ。それだけで十分、ありがたい。【市川明代】

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