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子どもの将来を考えると、中高一貫校を目指して中学受験に挑戦させる、という選択肢も出てくる。しかし都内ともなれば、人気の塾、学童に入れるのすら、激戦必至だ。中には「プレ会員」という“ワザ”を駆使する親もいるようだ。
最近、東京都江東区のある保育園では、親が集まると決まって1人のママの周りに輪ができる。彼女はことし4月に、上のお姉ちゃんを私立の中高一貫校に入れたばかり。
「やっぱり受験させるなら塾は小1からよ」
「塾ごとにどの学校に強いとか特徴があるから、志望校も最初にある程度決めたほうがいい」
指南は具体的だ。「経験者はやっぱり説得力が違う」。輪に加わっていた女性(36)はそう語る。娘は来春の小学校入学と同時に、プログラミングや英語などカリキュラムが充実した民間学童に入れる予定。保活と同じく「超激戦」なので、女性は「プレ会員」というワザを使った。保育園の時から入会金と年会費を払うことで、優先枠を確保できるのだ。
「人気の塾も、優先枠を取るには1年生から。『プレ会員』と同じ原理でしょう」(女性)
熱気の背景にあるのは、2020年度から大きく変わる大学入試だ。前倒しで学習が進み、高3では受験勉強に専念できる中高一貫校が優位と言われている。「花まる学習会」代表で、20年以上にわたり受験生を見てきた高濱正伸さんは言う。
「中高一貫校の大学現役合格率が高いのは事実。でも中高一貫校じゃなきゃダメかと言えば、そんなことはありません」
高濱さんによれば、本来、親が子育てのゴールに据えるべきは大学受験ではなく、社会で活躍できる魅力的な大人になること。受験もその観点から考えたほうがいいと言う。
「『中高一貫で頑張って勉強して東大に現役合格しました』というヒョロヒョロした奴と、『県立高校で高3の夏までラグビーで全国大会を目指してました。2浪したけど医学部に入りました』という豪快な奴と、どっちと結婚したいかってことですよ(笑)」
もちろん高濱さんは、中学受験で「生涯使える勉強法」を身につけ、その後の人生においても大きく飛躍した子どもたちもたくさん見てきた。(編集部・石臥薫子)
※AERA 2018年7月16日号より抜粋
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