小池都政2年、公約達成度は

東京スカイツリーのイラスト
朝日新聞さま
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◆担当記者が点検、○△×で判断

 小池百合子知事の就任から2年が過ぎた。圧勝した知事選で掲げた公約は、任期4年の折り返し地点で、どうなっているのか。暮らしや働き方といった身近な五つの検証可能な公約を、担当の記者が点検し、それぞれの達成状況を○△×で判断した。

「『残業ゼロ』などライフ・ワーク・バランスの実現を都庁が先行実施する」 →×
 

 都は2016年10月以降、午後8時の完全退庁を促している。勤務終了から翌日の始業まで原則11時間のインターバルの確保や、週末の連続勤務を禁じる「休み方改革」も試験的に導入している。

 しかし、17年度の本庁勤務職員1人あたりの超過勤務(月平均)は、前年度より1時間しか減らず、22.5時間。民間を上回り、「先行実施」と掲げながら、「残業ゼロ」はほど遠い。実際、午後8時以降も庁内のあちこちであかりがつく。ある職員は「深夜に帰っても翌朝から会議があり、インターバルを確保できない」と嘆く。

(西村奈緒美)

「災害時にも使える乳児用液体ミルクの普及を図る」 →○
 乳児用液体ミルクの活用は、小池氏が衆院議員時代から掲げてきた肝いりの政策の一つ。液体ミルクは常温で保存でき、お湯も必要ないため、災害時や育児負担軽減につながるが、安全基準がなく国産できない。

 そこで都は、今年6月に流通大手「イオン」と協定を結び、災害時に海外から緊急調達できる態勢を整えた。今夏の豪雨災害の被災地、岡山と愛媛に計2640本を提供した。さらに小池氏は国内での製造・販売の解禁を話し合う国の検討会議に出席し、必要性をアピール。国は月内にも解禁する見通しだ。

(斉藤寛子)

「『待機児童ゼロ』を目標に保育所の受け入れ年齢、広さ制限などの規制を見直す」 →△
 今年4月時点の都内の待機児童数は5414人。小池氏が掲げた「待機児童ゼロ」には遠いが、昨年より約3千人減った。就任直後の9月に緊急予算を組み、17、18年度予算にそれぞれ1千億円以上を計上。認可保育所は今年4月時点で前年から253カ所増えた。今年度から異例のベビーシッター補助も始める。

 規制見直しでは、小規模保育所受け入れ年齢の上限を2歳から5歳に引き上げるよう国に提案。制度が改正され、上限は5歳になった。担当課は、広さ制限の見直しは喫緊の課題でないとし、そのほかの規制緩和を進めているという。

(斉藤寛子)

「『ペット殺処分ゼロ』を実現」 →△
 小池氏は愛犬家として知られる。昨年度の都内のペットの殺処分数(速報値)は犬がゼロ、猫が16匹で、知事就任前の15年度の犬10匹、猫193匹から大幅に減った。都によると、殺処分された猫は、高齢や治癒が難しいけが、病気などで譲渡が難しかったという。

 都は17年11月からネット上に譲渡の情報を発信するサイト「ワンニャンとうきょう」を開設。譲渡会を開く49団体と連携し、譲渡を推進している。譲渡につながるよう保護したペットのケアにも力を入れた。

(斉藤寛子)

「満員電車をゼロへ。時差出勤、2階建て通勤電車の導入促進」 →△
 都は昨夏から満員電車解消のため、時差出勤を呼びかけるキャンペーン「時差ビズ」を展開。今夏は大手から中小まで800以上の企業・団体が参加する。鉄道各社も朝夕に座れる新型列車の導入を進めており、小池氏は「働き方改革につなげたい」と意気込む。

 だが、国土交通省によると、昨年度の東京圏主要区間の平均混雑率は163%で、大阪圏の125%を大きく上回る。2階建て電車も、ある私鉄は「全く検討していない」(広報)とするなど実現の見通しは立っていない。

(石井潤一郎)

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