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兵庫県宝塚市が今年度から公立幼稚園の保育室に順次、エアコンを整備していく計画が滞っている。工事費の一部に見込んでいた国の補助金が交付されなかったためだが、今夏の記録的な猛暑を受け、市は全額を負担する事業に切り替えて実施するかどうかの検討を始めた。
宝塚市には現在、12の市立幼稚園があるが、乳児を預かる「西谷幼稚園・西谷認定こども園」を除く11園には、保育室にエアコンがない。汗をかくことによる健康面の発育が重視されていたことが理由という。
だが、近年の猛暑を受けて、市は2016年度に保育室へのエアコン設置を決め、17年度に調査と設計を実施。今年度から数年で全園の整備を終える計画を立てた。初年度は3年保育の長尾と仁川、施設の老朽化が進む安倉、丸橋の計4園から始めるため、一般会計当初予算案に約3500万円を計上した。
これに合わせて、文部科学省が工事費の3分の1を負担する「学校施設環境改善交付金」も申請したが、4月下旬に不交付が決定。4園での工事が始められなくなった。同省によると、今年度は老朽化した施設の改善や耐震化工事などを優先し、エアコン設置についてはどの自治体の申請も受け付けなかったという。
一方、各園では今年も夏休み前まで保育室の室温が30度を超える日が続き、エアコンのある遊戯室に全園児を集めて交流する時間を増やすなどして乗り切ってきた。
市は今後も猛暑が続くことを懸念し、少しでも早く整備が進められるよう現在、交付金相当額を補正予算に計上することなどを検討。担当者は「財政状況が厳しいので交付金はほしいが、いつまでも放置するわけにはいかない」と話している。
阪神間のほかの自治体では、伊丹、芦屋、川西の3市が市立幼稚園の全保育室にエアコンを設置している。
西宮市は18園のうち7園にあり、現在2園で工事中。尼崎市は廃校になった学校のエアコンなどを、10園のそれぞれ1~2室に取り付けた。猪名川町は4園のうち1園にあり、三田市は10園全てが未設置という。
整備が完了していない自治体は、いずれも今夏の猛暑を踏まえ、設置に向けた検討を進めている。(望月弘行)
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