保育所入所:見直し案「賛成だけど…」育休延長難しいまま

育児休暇・育児休業のイラスト
Niftyニュースさま
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 「育児休業を延長したい人にはうれしい」「育休延長が難しいことに変わりはない」--。厚生労働省が22日に示した保育所の入所選考の見直し案は、保育所利用の必要性が高い保護者、最長の2年まで育休を取りたいという保護者双方のニーズに応える狙いがあるが、待機児童が多く、職場で長い育休も取りにくい現状が改善するわけではなく、評価はまちまちだ。自治体からは、実務の難しさへの懸念も漏れる。【御園生枝里、横田愛】

 大阪府茨木市の契約社員の女性(43)は、次女(1)が保育所の選考に「落選」し、育休を延長中だ。「しばらく自分で面倒を見たかったので入所できなくてほっとした。『落選してもいい』と思っている人にとってはうれしい」と評価する。

 今春、生後9カ月の双子の娘2人を保育所に預けて復帰した東京都墨田区の女性会社員(34)も同意見だ。娘たちが体調を崩すことが何度もあり「2歳まで育休を取って、子どもの体力がついてきてから復職できるという選択肢ができるのはいいと思う」と語る。

 これに対し、三男の育児で幼稚園教諭を休職中の女性(39)は「新方式には賛成だが、2歳まで育休を取ってから保育所に申し込んでも、この年齢は待機児童が多く入りにくい。比較的入りやすい0歳児のうちに申し込まざるを得ない」と指摘。9月に長女を出産した宮城県多賀城市の女性会社員(38)も「長くそばにいたいが、職場で人のやりくりが難しい。育休を2歳まで取るのはハードルが高い」とこぼす。

 一方、厚労省は、育休を無条件で2歳まで延長できるようにすることは「制度自体の変更に関わる」として見送った。「原則1歳まで」の姿勢を崩さず、入所選考で順位を下げることで保護者の希望に対応するという今回の方針は「苦肉の策」(厚労省幹部)と言え、真正面からの議論は避けた形だ。

 自治体提案を主導した大阪市の赤本勇保育企画課長は「時代と共に保護者のニーズが変わってきていることを踏まえ、今後は制度自体の見直しも進めるべきだ」と強調。「誰をどの程度『減点』するかを決めるのは難しく、すぐには対応できない」(川崎市)、「育休延長を積極的に希望する人と、延長はできるがすぐに復帰したい人を適切に区別するのは難しい」(東京都江戸川区)といった懸念の声も出ている。

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