女性の再就職支援拡大 学び直し、マッチング推進

大阪城のイラスト
大阪日日新聞さま
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人手不足が深刻化する中、出産や育児で一度仕事を離れた女性の復職を支援する官民の取り組みが拡大している。国や大阪府は、子育て中の女性の就労をきめ細かくサポートするほか、就労に向けた「学び直し」も支援。女性が働きやすい職場づくりを進め、女性ならではの感性や能力、育児経験を生かそうという民間企業も増え始めている。

 府内の20~59歳の女性の就業率は、47都道府県中46位(2017年)で全国最低水準にある。国や府は女性が復職しやすい環境を整え、企業側とのマッチングも進めるなど女性活躍を促すための支援を進めている。

■下位に低迷
 関西は伝統的に女性の就業率が低い。特に大阪府は結婚や出産を機に仕事を辞めて復職しない人が多く、20代後半から男性との就業率の差が拡大。その後の回復も鈍く、世代別の就業率を表にすると、30代を谷間とする「M字カーブ」を描くことが課題とされてきた。

 総務省の調査によると、20~59歳の大阪府の女性就業率は2012年の66・1%から17年には71・7%に上昇。景気回復に伴う有効求人倍率の改善や行政の支援策が影響したとみられるが、全国的にも女性就業率は上がっており、都道府県別でみると府の順位は45位から下がった。

■環境整備
 「女性の活躍推進」を掲げる国は、仕事と家庭の両立に向けた環境整備を後押しする。

 大阪労働局は、大阪市中央区に全国でも先進的な「大阪マザーズハローワーク」を設置。子育てと仕事の両立の不安などについてスタッフが相談に応じ、希望に合った就職先をマッチング。面接に適した服装のファッションショーやパソコン基礎講座など、女性が気軽に参加できる託児付きセミナーも人気だ。

 仕事と家庭の両立に理解のある企業を登録する「ハローマザー企業」制度も設け、担当者が直接出向いて登録企業を増やしている。保育園の送迎に対応できるよう就業時間を見直すなど労働条件の緩和を求め、応じた企業を登録。女性が安心して応募できる企業としてPRしている。

 国は復職に向けた学び直しを行う「リカレント教育」の支援にも力を入れ始めた。看護師や保育士、美容師など専門的な資格を持ち、雇用保険の被保険者だった人が講座を受講した際に給付する「専門実践教育訓練給付金」を今年から拡充。訓練経費の給付率を最大6割から7割に引き上げた。

■アドバイス
 府も「あの手この手」で取り組む。同市中央区のエル・おおさか内にある「OSAKAしごとフィールド」には、「働くママ応援コーナー」を併設。保育士が常駐し保育所探しをアドバイスするなど、「保活」と「就活」をワンストップ支援するのが最大の特徴だ。

 子どもを遊ばせながらセミナーに参加できる部屋もあり、子どもと一緒に体を動かして遊ぶ「プチ体験保育」のイベントも。就職活動中は、同じ建物内にある連携保育所で一時保育サービスも利用でき、安心して仕事探しやセミナー、キャリアカウンセリングを受けることができる。

 同コーナーは前年度911人が利用し、205人が就職した。府就業促進課の担当者は「子育てしながら復職することへの不安は大きい。1人でパソコンに向かうのではなく、同じように働こうとするママがいるという仲間意識を抱いてもらい、一人一人にきめ細かく応援していきたい」と話す。

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