保育士不足 対策急務/青森県内、待機児童受け皿なし



------------------------------------------------------------------------------------------------

「11月で育休が切れるのに、保育所は満員。春まで育休を延長することになった。子どもとゆっくり過ごせる半面、育児休業給付金だけでは金銭的には厳しい」。11カ月の長女がいる青森市の保育士の女性(29)は不安を語る。

福祉・医療
 1歳10カ月の双子の男の子を育てる同市の母親(42)もため息をつく。「子どもたちを私1人で見るのもすごく大変で、思い切り遊ばせるためにも保育所に入れたいけれど、市役所では育休明けの人が優先と言われた。私は一体いつ働けるの?」

 今月1日、青森市内で子育て中の女性7人が集まり、保育所探し「保活」の体験などを話してくれた。

 希望したのに認可保育所や認定こども園などに入れない県内の待機児童数は、昨年度末の今年3月時点で249人と、前年同期の163人から86人増えた。青森県の待機児童数は、卒園や転園などで空きが出る毎年4月にいったんゼロになるものの、年度途中で産休・育休明けの母親らによる申し込みが増える。保育施設の空きがないため、希望時期に職場復帰できない人も多い。

 青森市では10月1日現在、待機児童は14人で、すべて0歳児。県保育連合会の渡邊建道会長によると、0歳児は、子ども3人に対して保育士が1人と、多くの人員配置が必要になるため、保育士不足から受け入れられない保育施設が多いという。同市の待機児童は昨年度末の3月には72人まで増えており、本年度も同様の傾向が予想される。

 保育士不足で保育施設に余裕がない状態は、普段は施設に通っていない子どもを一時的に保育する「一時預かり」にも支障を来している。

 県外出身で、10カ月の長女がいる同市在住の中学校教諭鶴若亜紗美さん(31)は、産後3カ月の時に体調不良が続き、一時預かりを利用しようと何軒もの保育施設に電話したが、定員いっぱいで断られた。市役所に相談しても「自分で保育所に電話してください」と言われるばかりだったという。「自分が横になりながら、子どもを見ているしかなかった。母親が頼れる場所がなければ、虐待にもつながりかねない」と話した。

 県のまとめによると、待機児童には数えられないが、特定の保育施設を希望して待機する「潜在的待機児童」は4月1日時点で279人いた。同市では10月1日現在、108人いる。市中心部に保育施設が足りず、ニーズに対応できていないという。

 来年4月に職場復帰予定の鶴若さんは、特定の保育施設を選ばざるを得ない気持ちがよく分かるという。「朝早くから夜遅くまで働かなければならない。少しでも利便性が良く、延長保育があるところでなければやっていけない」と語った。

 来年10月から幼児教育・保育無償化が実施されるが、母親たちは「先にやることがあるのでは。保育士の賃金を上げて、保育所の環境を良くしてほしい」と口をそろえた。

 年度途中の待機児童数の増加を受け、県は本年度内に関係団体などと協議会を立ち上げ、対策を話し合う。

------------------------------------------------------------------------------------------------