“期間限定”の保育施設、住民反発で延期 高級住宅地の東京・白金台

プラチナチケットのイラスト
Yahoo!ニュース様
------------------------------------------------------------------------------------------------

高級住宅街として知られる東京・白金台に港区が建設を予定している保育施設について、周辺住民の理解が得られずに着工が遅れ、予定していた2019年4月の開設に間に合わない見通しであることが分かりました。

 閑静な住宅街、港区白金台の公園に建設が予定されているのは、2階建てで定員100人程度の保育施設です。港区が保育施設を計画している場所はいまは公園になっていて、工事の着工延期を知らせる貼り紙も掲げられています。

 区は整備費用に約2億7600万円をかけ、2019年4月の開設を予定して準備を進めてきました。しかし、周辺住民の一部の反発が強く、着工予定のことし10月を過ぎても工事に着手できず、区は事実上、2019年4月の開設を断念したことが分かりました。

 近隣住民からは「(地域の)保育施設の単価が高いので、預けるのを断念したり遠いところに預けることが多い。近くにあった方がいい」といった声がある一方で、「静かないいところなので(公園を)残したい気持ちもある。住民に知れ渡ってから造るか造らないか決めた方がいいのでは」といった声も聞かれました。

 これまで6回行われた住民説明会は当初、参加者が4人でしたが、回を追うごとに人数が増え、10月5日の説明会には80人ほどが参加し、「今の遊び場をつぶしてまで保育施設を造る必要があるのか」「税金の無駄遣いだ」などの批判的な意見が相次ぎました。

 区によりますと白金台地域には現在、待機児童が約500人いる一方で、認可保育園は1カ所しかなく、区は保育施設の整備を緊急の課題と位置づけています。区は周辺で19カ所を候補地にして検討しましたが、敷地の広さなどの理由で適した場所がここしかなかったと説明しています。開設の延期について港区の武井区長は「今も地域の皆さんと話し合いを続けている。白金台地域は保育施設が充足していない場所。できるだけ理解を得て建設したい」と話しています。

 区は引き続き説明会を開いて住民に理解を求め、開設を目指していく考えです。

白金台の保育施設、住民反発の理由
 今も保育施設設置について住民の納得は得られず、次の説明会の日程も決まっていません。そして、住民が保育施設の建設を反対している理由がもう1つあります。

 今後、この場所は「環状4号線」という港区高輪3丁目から江東区に至る道路が整備される予定です。そのため、保育施設を造っても2023年3月には道路工事に向けて、施設を壊さなければなりません。このような“期間限定の施設”に約2億7600万円の税金をかけるのは「高いのでは」と反対する声も上がっています。ただ、実際に保育施設を必要としている待機児童がこの地域にいるわけで、何を優先すべきか難しい課題となりそうです。

------------------------------------------------------------------------------------------------