育休の平等取得 一層進める…女性の社会参加進むフィンランド アンニカ・サーリッコ家族・社会保障事業大臣

フィンランドの国旗
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女性の社会参加が進んだ男女平等の先進国、北欧フィンランド。来日したアンニカ・サーリッコ家族・社会保障事業大臣に、日本と共通の課題でもある少子高齢化の現状や課題、解決策を聞いた。

 ――フィンランドの高齢化率(65歳以上の割合)は2017年で21.4%。日本の27.7%に比べれば低いが、現状をどう見るか。

 高齢化が急速に進み、社会を支える現役世代人口が減っている。都市部に人口が集中し、地方の高齢化が深刻だ。フィンランドは日本と同程度の国土面積だが、人口は550万人と日本の約4%にすぎない。町の中心から離れて住む高齢者も多く、福祉サービスを効率的に届けることが課題だ。

 ――どんな施策に取り組んでいるのか。

 現在、一部の地域で高齢者向けの総合相談窓口を試験運用している。看護師などの専門職が、電話やメールであらゆる相談に応じ、民間プログラムも含め、適切なサービスを案内するものだ。「煙突掃除を頼みたい」「母親に認知症の症状が出ている」など、様々な相談が寄せられる。今後は全国に広げたい。

 ――日本は参考になるか。

 高齢化は先進国共通の課題だが、中でも日本は先頭を行っている。フィンランドは10年以上前に、施設から在宅介護へと政策の重心を移したが、高齢者の生活のすべてを看護師やヘルパーの訪問に頼るのは不可能だ。人工知能(AI)やロボットの活用は重要で、日本を参考にしていきたい。

 ――日本は高齢化とともに少子化が深刻だ。

 フィンランドも、この70年間で出生数は半減した。若者の人生の優先順位が変わったこと、仕事と子育ての両立が難しいことなどが背景にある。私も4歳の息子を育てているが、弁護士の夫と実家の父母の協力、質の高い保育所のおかげで何とかなっている。

 ――少子化にはどんな取り組みが必要か。

 少子化は男性の問題でもあり、社会の意識改革が必要。男女が平等に育児と仕事を両立できるような法整備も重要だ。フィンランドでは、法律で保育を受ける権利が保障され、待機児童問題はない。育児休業制度も、男女がより平等に取得できるように法改正される見通しだ。

 ――子育てしやすい社会の実現には、女性の政治参加が重要だと言われている。

 フィンランドの国会議員の4割は女性だ。完全に平等にはなっていないが、過去には女性の大統領や首相もいた。子育て中の大臣も今や珍しくない。日本の女性も挑戦を続けてほしい。

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